デジタル大辞泉
「補」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
おぎな・う おぎなふ【補】
〘他ワ五(ハ四)〙
① 不足をみたす。欠けているものをつけ加える。そえる。おぎぬう。おぎのう。
※新
浦島(1895)〈
幸田露伴〉一「木下錦里が補
(オギ)なひし浦島が子の伝といふものにも」
※
渋江抽斎(1916)〈
森鴎外〉八二「荷を売った銭は固より路用の不足を補
(オギナ)ふ額には上らなかった」
② 相手に与えた損害、罪などの埋め合わせをする。つぐなう。つくろう。おぎぬう。おぎのう。
※太平記(14C後)一一「肥馬の前に塵を望み、高門の外に地を掃いても、己
(おのれ)が咎
(とが)を補
(ヲギナ)はんと思へる
心根なれば」
[
語誌]「書陵部本名義抄」をみると、第二音節が
清音の「おきぬふ」があがっており、これが古い語形だったらしい。「おきぬふ」ならば、
語源としては「置く+縫ふ」ととらえ、布の破れ目に別の布を置いて縫うところからとする説が注目される。室町時代頃には濁音化して「おぎぬふ」となるが、近世初期まではこの「おぎぬふ」の方が「おぎなふ」より一般的だったともいわれる。
おぎない おぎなひ【補】
① 補うこと。また、補うもの。補充。
※
和英語林集成(
初版)(1867)「ニク ヲ タベテ カラダ ノ oginai
(オギナイ) ニ スル」
※
滑稽本・
和合人(1823‐44)初「其薬箱を是へつかはされ、補
(オギナヒ)を一帖進ぜませう」
おぎぬ・う おぎぬふ【補】
〘他ハ四〙 (古くは「おきぬう」)
※書陵部本名義抄(1081頃)「補 オキヌフ」
② 衣などを縫い綴る。
※
たまきはる(1219)「桜のうた、詩などを、きぬのつき、
唐衣、裳の腰に、いかにせんとをきぬい」
ほ‐・する【補】
〘他サ変〙 ほ・す 〘他サ変〙
② おぎなう。補充する。
※正法眼蔵(1231‐53)山水経「およそ男石女石あり、非男女石あり、これよく天を補し地を補す」
ふ‐・す【補】
〘他サ変〙 官職に任命する。任ずる。ほす。
※
延喜式(927)
一八「凡飛騨、
陸奥、出羽及太宰府所管諸国人、皆不
レ得
レ補
二帳内職分位分資人
一」
※高野本平家(13C前)一「
加賀の目代に補
(フ)せられ」
ほ【補】
[1] 〘名〙 おぎなうこと。「作」に対して「補す」意で用いる。「何某作、何某補」。→
補する。
[2] 〘語素〙 官職を表わす語に付いて、その職になる前の候補としての資格であることを示す。「書記補」「警部補」「次官補」など。〔英和外交商業字彙(1900)〕
おぎの・う おぎのふ【補】
※明応本節用集(1496)「補 ヲキノウ」 〔日葡辞書(1603‐04)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報