(読み)ホ

デジタル大辞泉 「補」の意味・読み・例文・類語

ほ【補】[漢字項目]

[音](漢) フ(呉) [訓]おぎなう
学習漢字]6年
欠けた所をつぎ足してうめる。足りない所をおぎなう。「補遺補完補給補強補欠補修補充補助補償補正補足補塡ほてん修補増補塡補てんぽ
空いたポストをうめる。官職を授ける。「補任候補転補
ある官職に就く前の役柄。「警部補判事補
(「」の代用字)そばで力を添えて助ける。「補佐補導
[名のり]さだ・すけ・たすく
難読補陀落ふだらく

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「補」の意味・読み・例文・類語

おぎな・う おぎなふ【補】

〘他ワ五(ハ四)〙
① 不足をみたす。欠けているものをつけ加える。そえる。おぎぬう。おぎのう。
伊呂波字類抄(鎌倉)「補 オキヌフ オキナフ 闕也」
※新浦島(1895)〈幸田露伴〉一「木下錦里が補(オギ)なひし浦島が子の伝といふものにも」
渋江抽斎(1916)〈森鴎外〉八二「荷を売った銭は固より路用の不足を補(オギナ)ふ額には上らなかった」
② 相手に与えた損害、罪などの埋め合わせをする。つぐなう。つくろう。おぎぬう。おぎのう。
※太平記(14C後)一一「肥馬の前に塵を望み、高門の外に地を掃いても、己(おのれ)が咎(とが)を補(ヲギナ)はんと思へる心根なれば」
[語誌]「書陵部本名義抄」をみると、第二音節が清音の「おきぬふ」があがっており、これが古い語形だったらしい。「おきぬふ」ならば、語源としては「置く+縫ふ」ととらえ、布の破れ目に別の布を置いて縫うところからとする説が注目される。室町時代頃には濁音化して「おぎぬふ」となるが、近世初期まではこの「おぎぬふ」の方が「おぎなふ」より一般的だったともいわれる。

おぎない おぎなひ【補】

〘名〙 (動詞「おぎなう(補)」の連用形名詞化)
① 補うこと。また、補うもの。補充。
和英語林集成初版)(1867)「ニク ヲ タベテ カラダ ノ oginai(オギナイ) ニ スル」
滑稽本和合人(1823‐44)初「其薬箱を是へつかはされ、補(オギナヒ)を一帖進ぜませう」

おぎぬ・う おぎぬふ【補】

〘他ハ四〙 (古くは「おきぬう」)
※書陵部本名義抄(1081頃)「補 オキヌフ」
② 衣などを縫い綴る。
たまきはる(1219)「桜のうた、詩などを、きぬのつき、唐衣、裳の腰に、いかにせんとをきぬい」
[語誌]→「おぎなう(補)」の語誌

ほ‐・する【補】

〘他サ変〙 ほ・す 〘他サ変〙
① 職の担当を命じる。職に任ずる。ふす。
正法眼蔵(1231‐53)礼拝得随「官家より尼寺住持に補すべき詔をたまふには」
② おぎなう。補充する。
※正法眼蔵(1231‐53)山水経「およそ男石女石あり、非男女石あり、これよく天を補し地を補す」

ふ‐・す【補】

〘他サ変〙 官職に任命する。任ずる。ほす。
延喜式(927)一八「凡飛騨、陸奥、出羽及太宰府所管諸国人、皆不帳内職分位分資人
※高野本平家(13C前)一「加賀の目代に補(フ)せられ」

ほ【補】

[1] 〘名〙 おぎなうこと。「作」に対して「補す」意で用いる。「何某作、何某補」。→補する
[2] 〘語素〙 官職を表わす語に付いて、その職になる前の候補としての資格であることを示す。「書記補」「警部補」「次官補」など。〔英和外交商業字彙(1900)〕

おぎの・う おぎのふ【補】

〘他ハ四〙 =おぎなう(補)
※明応本節用集(1496)「補 ヲキノウ」 〔日葡辞書(1603‐04)〕

ほ‐・す【補】

〘他サ変〙 ⇒ほする(補)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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