裏漉し(読み)ウラゴシ

デジタル大辞泉 「裏漉し」の意味・読み・例文・類語

うら‐ごし【裏×漉し】

[名](スル)枠に布や目の細かい網を張ったふるい状の調理器具を用い、その外底に材料をのせ、こしたり、かすを除いたり、つぶして細かくしたりすること。また、その器具。「裏漉しにかける」「ジャガイモ裏漉しする」

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改訂新版 世界大百科事典 「裏漉し」の意味・わかりやすい解説

裏漉し (うらごし)

円形の枠の底に網を張った,こすための調理器具。伏せて網の上にあんいもなどをのせ,しゃもじやへらで押さえてこす。馬の尾の毛を張った物は,適度の弾力があり,毛の断面が角ばっているため,こす物を削り取りやすく,滑らかにこせる。網を傷めずよくこせるように,使用前に水に浸して網をピンと張り,しゃもじやへらは網目に対して斜めに使うのがこつである。現在では,合成樹脂製の網を使った物や,全体が金属製の物も多く,じょうぶで網目は正確だが,弾力がなくこしにくい。だしや寒天液などの液体をこすには水囊(すいのう) (水篩(みずぶるい)とも)を用い,これは中へ材料を入れてこすようになっている。しかし,もともと裏ごしも水囊も同じもので,歴史的にみると水囊が古く,裏ごしはそれから分化したものである。水囊作りの職人はすでに《人倫訓蒙図彙》(1690)に描かれており,水囊はもとは僧が水をこして飲むために使った布袋で,〈今馬の尾を以て作る事は秀吉公高麗国より水囊作を具して来給へり,其子孫今に大坂に住す〉としている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「裏漉し」の意味・わかりやすい解説

裏漉し
うらごし

煮豆や栗(くり)、芋(いも)などの食品をつぶしながら漉すときに用いる調理器具。曲げ物、あるいは金属の枠に網を張ったもので、枠の外底に材料をのせて使用するため、この名がある。反対に枠の中へ材料を入れて漉すものは「すいのう」とよぶ。使い方が反対なので、網の張り方も逆になるが、底の平らな裏漉しに対し、すいのうは底に縁がつけられている。また枠底に張ってある網の材質によって、馬の毛を張ったものは毛漉し羽二重(はぶたえ)を張ったものは絹漉し、針金を張ったものは金漉しとよばれる。これらのなかでも、すでにローマ時代につくられていたといわれる毛漉しは水に強く、また弾力性があるため漉しやすいという点でもっとも優れている。

[河野友美]


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食器・調理器具がわかる辞典 「裏漉し」の解説

うらごし【裏漉し】

こし器の一種で、丸い枠に布または馬の尾の毛やステンレスなどの網を張ったもの。網側を上にしてこしたものを入れる容器の上に置き、煮た豆・いも・栗や豆腐などのやわらかい食材を網の上に置いて、へらなどで押しつけるようにして網の目を通し、つぶしてなめらかにしたり、かすを取り除いたりする。また、こし器を用いて食品をこすこともいう。◇器具は「裏ごし器」ともいう。

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百科事典マイペディア 「裏漉し」の意味・わかりやすい解説

裏漉し【うらごし】

料理用の漉し器およびそれを使用する料理法。網を張った篩(ふるい)に似た曲物(まげもの)で,食品を網目からこすり落とす。餡(あん)やきんとん,病人食,離乳食をつくる場合などに使用。馬の尾毛による毛漉しが一般的で,特に細かくするには絹漉し(羽二重漉し),堅いものや繊維の多いものには金漉しを用いる。

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「裏漉し」の解説

うらごし【裏漉し】

食品をこすのに用いる調理器具。曲げ物に布や金網を張ったもの。またこれを用いて食品をこすこと。材料をつぶして細かくしたり、かすを取り除いたりする。

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