装甲(読み)そうこう(英語表記)armour

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「装甲」の意味・わかりやすい解説

装甲
そうこう
armour

人員,兵器を保護するために用いられる防御板。アルキメデスは前 250年にギリシアの軍船が鉄の装甲をしていたと書いている。ビザンチン帝国の軍船は獣皮と厚い羊毛繊維を使って飛翔物を防いだ。ナポレオン時代は火砲の威力が小さかったので,軍艦は 60cmほどの厚さのかしの側板で防弾することができた。火砲の進歩した 19世紀には鋳鉄板を用いた甲鉄艦が登場し,1855年にはベッセマー法,70年代にはシーメンズ=マルタン法が考案されて強固な鋼板が出現し,世界最初の鋼鉄艦,フランスの『レダプターブル』が進水した。 77年に鍛鉄にベッセマー鋼を溶着させた合成装甲板がつくられ,87年にはイギリスの T.トレシッダーが合成板の表面を噴射水で冷却して堅硬にする製法を考え,89年にはフランスのシュナイダー社が強靭性を増したニッケル鋼板をつくった。 91年にはアメリカの H.ハーベイがハーベイ鋼板を発明,94年にはドイツのクルップ社がこれを改良してクルップ焼入れ鋼板をつくった。このクルップ鋼板に少し改良を加えたものが今日でも使われている。その防弾力は約 2.5倍の厚さの鋳鉄板に匹敵する。日本の大和型戦艦は,舷側および砲塔に VH甲板 (無滲炭表面硬化甲鈑) ,水平防御に CNC (含銅甲鈑) など新たに開発した独特のものを採用し,その厚さも舷側 420mm,砲塔前面 560mm,水平防御甲板 200mmに及んだ。第2次世界大戦中からプラスチックも用いられているが,現代の軍艦ではこうした装甲思想は重視されていない。ただ戦車では各種の装甲が施されている。

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百科事典マイペディア 「装甲」の意味・わかりやすい解説

装甲【そうこう】

戦艦巡洋艦航空母艦などの重要部分に装着される防御用の甲鉄。玄側水線付近の玄側装甲を主とし,砲塔,弾薬庫などにも施され,高抗張力ニッケル‐クロム‐モリブデン鋼などを使用,厚さは大型戦艦では30cm以上に達した。砲戦のなくなった今日では,空母の飛行甲板,格納甲板,弾薬庫など,巡洋艦,大型駆逐艦の特殊部分にのみ薄い装甲が張られる。また戦車では前面に装甲を施す。
→関連項目徹甲弾粘着榴弾劣化ウラン弾

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精選版 日本国語大辞典 「装甲」の意味・読み・例文・類語

そう‐こう サウカフ【装甲】

〘名〙
① よろいを身につけること。武装すること。
② 敵弾を防ぐため、船体、車体などに鉄板を張ること。また、そのもの。
※東京日日新聞‐明治二一年(1888)一月五日「装甲水雷船小鷹」
※国民歌謡・戦車兵の歌(教育総監部撰歌)(1939)「見よ装甲(サウカフ)の機動力」

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デジタル大辞泉 「装甲」の意味・読み・例文・類語

そう‐こう〔サウカフ〕【装甲】

[名](スル)
よろいをつけて武装すること。
敵弾を防ぐために船体や車体に鋼鉄板を張ること。また、その鋼鉄板。「装甲された車両」「装甲艦」

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普及版 字通 「装甲」の読み・字形・画数・意味

【装甲】そうこう

武装。

字通「装」の項目を見る

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