精選版 日本国語大辞典 「被物」の意味・読み・例文・類語
かずけ‐もの かづけ‥【被物】
〘名〙 (「かつげもの」とも)
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「あるじの事すべきに、はやかづけものの事せさせ給へ」
※人情本・春色江戸紫(1864‐68頃)二「彼のお花には取わきてかづけ物など多くあたへ」
③ 外観だけよく見えて中身の悪いもの。くわせもの。にせもの。
※浮世草子・色里三所世帯(1688)中「さもしくかづけ物にはあらず」
④ だまされて、自分のしたこととして負わせられること。他人のはらませた子を、自分の子だとだまされて負わせられること。また、その子。
※浮世草子・庭訓染匂車(1716)二「かづけ物かもしれねども」
かぶせ‐もの【被物】
〘名〙
① だまして他へおしつけた物。
② 表面だけを、立派なもののようにしてごまかしたもの。まやかしもの。
※浮世草子・世間化物気質(1770)二「かやうなかぶせものとは、中々以て暫時も置事叶はず」
かずき‐もの かづき‥【被物】
〘名〙 (「かつぎもの」とも)
※虎明本狂言・眉目吉(室町末‐近世初)「なふなふ、はやうかつき物をとらさせられひ」
※浮世草子・色里三所世帯(1688)下「なさけない事は此床のわるさ肌(はたへ)ひややかにして御茶入むしゃうに広沢のかづき物」
きせ‐もの【被物】
〘名〙
① 衣服など、物の表面にかぶせ着せるもの。きせるもの。かぶせるもの。
※玉塵抄(1563)四五「ひろう大にくびを打ををうやうに癭をかくすきせものをぬうぞ」
② ある物の上に他の物をかぶせ包み、それと見せかけるもの。かぶせもの。〔羅葡日辞書(1595)〕
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