被昇天(読み)ヒショウテン(英語表記)Assumptio B. Mariae Virginis ラテン語

デジタル大辞泉 「被昇天」の意味・読み・例文・類語

ひ‐しょうてん【被昇天】

聖母せいぼ被昇天

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「被昇天」の意味・わかりやすい解説

被昇天
ひしょうてん
Assumptio B. Mariae Virginis ラテン語

カトリック教義の一つ。聖母マリア死後、その肉体と霊魂は天に召されて、神の救いにあずかり、神から栄光を受けたことをさす。教皇ピオ12世は1950年11月1日に、これがカトリック教会における信ずべき教義であることを宣言した。聖母マリアが完全な信仰によってキリストの受肉のお告げを受諾し、「神の母」となった。キリストの救いが聖母マリアを通じて全世界に仲介された。この理由から、聖母はキリストの救いを完全な仕方で受け、キリストによって成就した救いの範型となった。キリストのもたらした救いは人間の全身心の救済であるから、聖母マリアがキリストの救いの力を完全に受けて、その全身心が神の栄光に輝いたと信ずるのは当然である。被昇天の祝日は8月15日。古くからマリアの死去や被昇天について多くの絵画が残されているが、フラアンジェリコやエル・グレコの『聖母被昇天』は有名である。

[門脇佳吉]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「被昇天」の意味・わかりやすい解説

被昇天
ひしょうてん
Assumption

聖母マリアのからだが天に上げられ,復活したキリストの栄光にあずかったとする信仰伝承。すべての信仰者に約束されているからだの復活のマリアにおける先取りを意味する。この信仰はマリアを第2のイブとする教父思想にその萌芽もち,特に東方では早くから発展したが,10世紀には一般的となり,1950年 11月1日,ピウス 12世によって正式の教理として布告された。それに伴い6世紀にさかのぼる8月 15日のマリア帰天の祝日が被昇天の祝日に改称された。

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