表面プラズモン共鳴(読み)ヒョウメンプラズモンキョウメイ

化学辞典 第2版 「表面プラズモン共鳴」の解説

表面プラズモン共鳴
ヒョウメンプラズモンキョウメイ
surface plasmon resonance

エバネッセント波の波数が金属薄膜表面上の電子のプラズマ振動の波数と一致すると,両者間で共鳴が起こり,エバネッセント波のエネルギーが電子の励起に用いられるようになる現象.一般に,光は電子波とは共鳴しないが,薄膜表面ではその特殊性から光と共鳴する電子波のモード(表面プラズモン)が生じる.光が屈折率の高い物質から低い物質へと進む場合には,入射角が臨界角を超えると全反射する.このとき,わずかながら光の電場は真空側にしみ出しており,これをエバネッセント波という.エバネッセント波の波数は角度に依存するため,ある角度から入射した光のみが,金属表面プラズモンと共鳴し,吸収される.この吸収の起こる入射角度は,金属薄膜の表面状態(屈折率)に大きく依存する.したがって,入射角をかえながら反射光を測定することによって,金属表面の状態やそこで起こる反応(たとえば,抗原-抗体反応)を追跡することができ,バイオセンサーなどに利用されている.[別用語参照]免疫センサー

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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