衣食客(読み)いしょくきゃく(英語表記)yi-shi-ke; i-shih-k`o

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「衣食客」の意味・わかりやすい解説

衣食客
いしょくきゃく
yi-shi-ke; i-shih-k`o

中国,晋・南北朝時代,有力者にかかえられ隷従していた者の一種で,主家から衣食を支給されていたのでこの名がある。官吏はその身分に応じて一定数の衣食客をもつ制度があった。衣食客は課役を免除され,主人である官吏の戸籍にその名前を注記される。こうした衣食客を含む制度上の客は六朝時代になって初めて出現し,東晋・南朝では生活困難な庶民が官吏から経済的援助を受け,その援助分を働いて官吏に返すため衣食客となることも多くなった。それだけに有力な官吏のもとには規定以上の衣食客がいたと考えられる。唐の客女 (女性部曲) はその後身とされる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の衣食客の言及

【客】より

…しかし春秋戦国の変動期以後,主家に寄食する〈食客〉がふえると,賓客に対する処遇にも格差が生じ,またその中に〈俠客〉の要素も加わって,やがて客や賓客が居候・とりまきの意味を帯びてくる。さらに主家に傭われて働く〈傭客〉,土地を失って豪族や地主の小作人となる〈田(佃)客〉や〈荘客〉,はては衣食を支給される代りに労働の成果をすべて主家に取られる〈衣食客〉まで現れる。唐代には奴婢の上の上級賤民の女性を〈客女〉とよび,均田制崩壊後には土地をもたぬ小作人や商人の家は〈客戸〉とよばれる。…

※「衣食客」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android