衡(漢字)

普及版 字通 「衡(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 16画

[字音] コウカウ
[字訓] くびき・よこ・はかり

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
行+角+大。行は道。角は牛角。大は牛身。つのぎをつけた牛を正面よりみた形。〔説文〕四下に「牛の觸るる大木なり」と衡(ふくこう)の意とし、「角大に從ひ、行(かう)聲」の字とするが、〔説文〕行部二下の行を左右に分書するものに行声の例がなく、行は限定符とみるべく、中央が象形字である。すなわち牛が道路をゆくとき、危険を防ぐため衡を用いる意。金文の車服賜与形式の冊命(さくめい)の文に「衡(さくかう)」を賜う例が多く、(ながえ)の前端の横木と軛(くびき)など、車服一式に及ぶ例が多い。角に横にわたすものであるから横の意に用い、合縦連衡のようにいう。

[訓義]
1. 牛のつのぎ。
2. くびき、牛馬の首にかける曲木。衡軛というように、衡の一部をなす。
3. よこ、よこにわたすもの、屋上のよこぎ、冠をとめるこうがい、建物のてすり、かぶき門。
4. はかり、はかりざお。権(おもり)を用いて左右の均衡をとり、重さをはかる。はかる、ひとしい、たいらか。
5. と通じ、佩玉。佩玉の首に衡をおき、左右の系に玉を連ねて垂らす。金文に「幽」という例が多く、幽黄は文献にいう幽衡にあたる。
6. 中心点に位置するもの、鐘の柄の上部、鐘をかけるところ、渾天儀心棒のところ。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕衡 久比木(くびき) 〔名義抄〕衡 ヒラナリ・ハカリ・ハカリノオモシ・ヨコタフ・タヒラカニ・イタヅラ・ヨコサマ・イビキ 〔字鏡〕衡 ヨコサニ・イタヅラ・ハカラフ・ハサム・ワヅカ・ヨコタフ・クビキ・イヱ・カウガフ・ヨロシ・ヒトシ・カク・ヒラナリ・マツク・タヒラカナリ・ハカリ・ハカリノオモシ

[語系]
衡・・桁heang、(横)hoang、huangは声近く、みな横長のもの、横さまのものをいう。(黄)は佩玉の象形ともみられる字で、その上部の横にわたる玉を衡という。

[熟語]
衡宇・衡蓋衡嶽衡鑑衡軌衡虚衡均衡撃・衡決・衡権・衡言衡抗・衡・衡行・衡才衡宰・衡視・衡軸衡称・衡縦衡任・衡石・衡総・衡直・衡度・衡文衡平衡縫衡茅・衡木・衡命・衡門・衡軛・衡里・衡量衡廬衡鹿
[下接語]
玉衡・均衡・権衡・持衡・称衡・銓衡・争衡・衡・平衡・幽衡・連衡

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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