蟻通(読み)アリドオシ

デジタル大辞泉 「蟻通」の意味・読み・例文・類語

ありどおし【蟻通】[謡曲]

謡曲四番目・準脇能物世阿弥作で、貫之つらゆき集などに取材紀貫之蟻通明神乗馬のまま通行して神の怒りに触れるが、和歌の徳により許される。

あり‐どおし〔‐どほし〕【×蟻通/虎刺】

アカネ科の常緑小低木。山地樹陰に生え、高さ30~60センチ。細い枝が変化した1~2センチの針が多数ある。初夏、白い漏斗ろうと状の花をつける。実は丸く、赤く熟す。
[補説]曲名別項。→蟻通

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蟻通」の意味・わかりやすい解説

蟻通
ありどおし

能の曲目。四番目物。五流現行曲。『申楽談儀(さるがくだんぎ)』にも記載のある世阿弥(ぜあみ)の作。ワキは紀貫之(きのつらゆき)。大雨のため蟻通明神の神前とも知らず下馬しなかったために、急に馬が倒れ伏す。老いた神官シテ)が登場し、この神が物咎(ものとが)めすることを語り、神慮を鎮めるための詠歌を勧める。「雨雲のたち重なれる夜半(よは)なれば有りと星(蟻通)とも思ふべきかは」と詠じた和歌の徳に神の怒りは解け、神官は神楽(かぐら)を捧(ささ)げ、自分が神の化身であることを告げて消える。暗夜の神域の厳しく清澄な雰囲気を描く能で、同じく歌人の西行(さいぎょう)をワキとし、月の清夜の風雅を主題とした『雨月』とは対照的な曲である。

増田正造

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動植物名よみかた辞典 普及版 「蟻通」の解説

蟻通 (アリドオシ)

学名Damnacanthus indicus
植物。アカネ科の常緑小低木

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