螻蛄(読み)おけら

精選版 日本国語大辞典 「螻蛄」の意味・読み・例文・類語

お‐けら【螻蛄】

〘名〙
① 「けら(螻蛄)」の俗称。《季・夏》
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉五「下は土中に鳴く蚯蚓(みみず)、おけらに至る迄」
② 解雇されること。首。
※高架線(1930)〈横光利一〉「ならねえたって、考えて見な。線が出来りゃ、お前も俺(おら)もおけらぢゃねえか」
所持金が全然ないこと。また、その人。もと、博徒・すり仲間の隠語。〔隠語輯覧(1915)〕
※漫才読本(1936)〈横山エンタツ〉自序伝「失敗して、オケラ(文なしのことです)になって帰って来いようー」
④ 馬鹿。間抜け。職人や肉体労働者の間でいう。〔模範新語通語大辞典(1919)〕
[補注]①について、「おけら鳴く」は俳句で秋の季語とされる。

けら【螻蛄】

〘名〙 バッタ(直翅)目ケラ科の昆虫体長約三センチメートルで、黄褐色ないし暗褐色。ややコオロギに似ているが細長い。前あしモグラの手に似て太く平たいので土を掘るのに適する。地中トンネルを掘り、ミミズなどを捕食するほか農作物の根を食べる。前ばねは短いが後ばねは長く、灯火にも飛来する。発音器は特に雄に発達し、春秋に土中でジーと鳴き、俗に「ミミズが鳴く」といわれる。日本各地の他、東洋熱帯、オーストラリア、アフリカなどに広く分布する。おけら。《季・夏》
▼けら鳴く《季・秋》 〔新撰字鏡(898‐901頃)〕

ろう‐こ【螻蛄】

〘名〙 「けら(螻蛄)」の漢名。〔色葉字類抄(1177‐81)〕 〔古詩十九首‐其一六〕

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デジタル大辞泉 「螻蛄」の意味・読み・例文・類語

お‐けら【螻蛄】

昆虫ケラのこと。 夏》
所持金のないこと。一文なし。「螻蛄になる」
[類語]無一文むいちもん無一物むいちもつ一つすってんてん文無し裸一貫丸裸身すがら素寒貧

けら【螻蛄】

直翅ちょくし目ケラ科の昆虫。体長約3センチ。頭部と前胸は頑丈で、前足はモグラに似てくまで状。地中に穴を掘ってすみ、昆虫などを捕食するほか植物の根なども食う。後ろばねが長く、夜飛んで灯火にも集まる。雄は春秋に土中でジーと鳴き、俗に「ミミズが鳴く」といわれる。おけら。 夏》

ろう‐こ【××蛄】

ケラのこと。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「螻蛄」の読み・字形・画数・意味

【螻蛄】ろうこ

けら。

字通「螻」の項目を見る

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動植物名よみかた辞典 普及版 「螻蛄」の解説

螻蛄 (ケラ)

学名:Gryllota africana
動物。ケラ科の昆虫

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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