蝶番（読み）ちょうつがい

精選版 日本国語大辞典

ちょう‐つがい テフつがひ【蝶番】

〘名〙

① (多く蝶の形に似ているところからいう) 開き戸や開きぶたなどが一方のはしを軸として開閉できるようにとりつける金具。〔文明本節用集（室町中）〕

※俳諧・毛吹草（1638）五「桜戸に二疋とまるやてふつがひ〈秀重〉」

② 転じて、からだの関節。また、二つの物事をつなぎとめるもの。

※明六雑誌‐三八号（1875）転換蝶鉸説〈阪谷素〉「凡そ事物に移り変りの蝶つがひある」

③ 二枚貝の両方の貝殻が殻頂の近くで連結する部分。靱帯で双方の殻が結合し、さらに殻歯で二枚の殻がかみ合っている。

出典　精選版 日本国語大辞典

デジタル大辞泉

ちょう‐つがい〔テフつがひ〕【^×蝶^▽番】

１ 開き戸や箱のふたなどを自由に開閉するために取り付ける金具。2枚の金属板と1本の回転軸からなり、形がチョウに似るのでいう。丁番ちょうばん。
２ 物と物とのつなぎめ。特に、からだの関節。「あごの蝶番が外れる」
[類語]金具・掛け金・口金・留め金・引き金・締め金・尾錠・鉤かぎ・自在鉤・フック

ちょう‐ばん〔テフ‐〕【^×蝶番】

「ちょうつがい（蝶番）」に同じ。

出典　小学館

改訂新版　世界大百科事典

蝶番 (ちょうつがい)

〈ちょうばん〉ともいい，丁番とも書く。扉や箱のふたなどの開閉のために用いる金具で，左右ほぼ同形の金属板（蝶板（ちよういた）という）を，中央の管状部分で組み合わせ，ピンを通して回転させる構造になっている。門扉用の大型のものから小箱用のものまで，種類が多い。現存最古の金属製蝶番は，正倉院所蔵の〈赤漆文欟木厨子（せきしつぶんかんぼくのずし）〉の両開き扉に用いられている4個の金銅製蝶番で，7世紀初期のものと推定されている。略式の蝶番として，頭部を環状に作った釘と，その環に通るように先端を折り曲げた釘とを組み合わせて用いるものがあり，肘壺（ひじつぼ）と呼ばれる。また建築などの扉には，扉の上下に軸木をつけ，それを敷居，鴨居，長押（なげし）などに掘った穴にさしこんで回転させる方式がある。古語では，その軸木を〈とまら（枢）〉，穴を〈とぼそ（枢，扉）〉と呼んだ。この方式は奈良時代の寺院建築の扉に多く用いられている。
執筆者：成田 寿一郎

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

百科事典マイペディア

蝶番【ちょうつがい】

開き戸や蓋(ふた)などが一辺を軸に回転できるように取り付ける金具。２枚の金属板を板面に平行な軸を通して連結，一方を枠(わく)に，他方を回転体に固定させる。閉めた場合に外から見えないようにした隠し蝶番，板の細長いピアノ蝶番など種類が多い。
→関連項目建具金物｜ヒンジ

出典　株式会社平凡社

家とインテリアの用語がわかる辞典

ちょうつがい【蝶番】

開き戸や開き窓、箱のふたなどに取り付け、これを回転軸として開閉させる金具。2枚の金属板が軸を中心に回転して開閉するさまを蝶の羽根に見立てていう。◇「丁番」と書くこともある。「ちょうばん」「ヒンジ」ともいう。

ちょうばん【蝶番／丁番】

ちょうつがい。⇒ちょうつがい

出典　講談社

リフォーム用語集

蝶番

開き戸・開き蓋などの開く建具を支え開閉できるようにする金具。丁番とも書く。また、英語の「hinge」からヒンジとも呼ばれる。平蝶番。旗蝶番、抜き蝶番などの種類がある。

出典　リフォーム ホームプロ

世界大百科事典（旧版）内の蝶番の言及

【蝶番】より

…門扉用の大型のものから小箱用のものまで，種類が多い。現存最古の金属製蝶番は，正倉院所蔵の〈赤漆文欟木厨子（せきしつぶんかんぼくのずし）〉の両開き扉に用いられている4個の金銅製蝶番で，7世紀初期のものと推定されている。略式の蝶番として，頭部を環状に作った釘と，その環に通るように先端を折り曲げた釘とを組み合わせて用いるものがあり，肘壺（ひじつぼ）と呼ばれる。…

※「蝶番」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」