蜻蛉返・筋斗返(読み)とんぼがえり

精選版 日本国語大辞典 「蜻蛉返・筋斗返」の意味・読み・例文・類語

とんぼ‐がえり ‥がへり【蜻蛉返・筋斗返】

〘名〙 (勢いよく飛んでいたトンボが、急に後ろへ身をひるがえすさまからいう。「とんぼかえり」とも)
空中で身体を回転させること。宙返りをすること。また、両手・両足を開いて、身体を車輪のように横へ回転させていく遊戯。とんぼうがえり。
俳諧・たれが家(1690)二「浮鴨の頭からげの水櫛ぞ〈才麿筋斗(トンホカヘリ)を胡(きた)のたはぶれ〈其角〉」
咄本・軽口機嫌嚢(1728)二「きん所のともだち子共十四五人、大かぐらやらとんぼがへりやら、こころまかせにくるはして」
② ある場所へ、行ってすぐひき返してくること。とんぼうがえり。
※浮世草子・御前義経記(1700)八「一家不残(のこらず)とんぼがへりして湊に出むかひ
③ 剣術の刀法の一つ。誘い太刀を打ってすばやく後に引き、相手がつけ込んで打ち掛けるとき、とび違って刀を返しざまにこれを斬る方法。とんぼうがえり。とぼうがえり。
※説経節・をくりの判官(1718頃か)せみやう「とんぼかへり水車、ひきょくをつくしのらせ給へば」
④ 歌舞伎で、切られたり投げられたりした役者が宙返りをすること。とんぼうがえり。

とんぼ‐がえ・る ‥がへる【蜻蛉返・筋斗返】

〘自ラ四〙 とんぼ返りを打つ。宙返りをする。
読本南総里見八犬伝(1814‐42)七「両人斉一(ひとしく)筋斗(トンボガヘ)りて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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