精選版 日本国語大辞典 「蛍」の意味・読み・例文・類語
ほたる【蛍】
[1] 〘名〙
① ホタル科に属する甲虫の総称。体長六~一八ミリメートル。体は長舟形で柔らかい。夜光ることでよく知られているが、発光する種はわずかである。日本ではゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルなど約四〇種知られ、特に前二者は有名で、蛍狩りの対象とされ飼養もされる。この二種の幼虫は水生であるが、これは世界でも例外的で、ほとんどは林床にすみ、カタツムリ類を食べる。古来、文学作品などによく現われる。くさのむし。なつむし。ほたろ。ほうたろ。《季・夏》
※地蔵十輪経元慶七年点(883)一「蛍(ホタル)の暉を慧の日に戢(をさ)め」
② 埋火などの小さく消え残った火。ほたるび。
※雑俳・三国力こぶ(1819)「剛いテテ・蛍踏みけす火事の跡」
③ (夜になると現われるところから) 江戸時代、京都祇園のあたりで通行人の袖を引いた下級遊女。また、その茶屋。ほたる茶屋。
※咄本・当世はなしの本(1684‐88)六「もとよりほたるあつむるいろこのみにて」
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