虫食・蝕(読み)むしばむ

精選版 日本国語大辞典 「虫食・蝕」の意味・読み・例文・類語

むし‐ば・む【虫食・蝕】

[1] 〘自マ四〙 虫に食われてだめになる。むしくいになる。また、体や精神痛手を受けてそこなわれる。虫食う。虫ずる。
※枕(10C終)二九二「月に昔を思ひ出でて、むしばみたる蝙蝠(かはほり)とり出でて」
塔影(1905)〈河井酔茗〉塔影「蔵めし経も蠧(ムシバ)みて」
[2] 〘他マ五(四)〙
病気悪習などで、体や心を少しずつそこなう。虫食う。
※或る女(1919)〈有島武郎〉前「葉子は生の喜びの源を、まかり違へば、生そのものを蝕(ムシバ)むべき男といふものに、求めずにはゐられないディレンマに陥ってしまったのだ」
② 少しずつ侵食する。
※二日物語(1892‐1901)〈幸田露伴〉此一日「音にききたる児(ちご)が嶽とは今白雲に蝕(ムシバ)まれ居る峨々と聳えし彼峯ならめ」

むし‐く・う ‥くふ【虫食・蝕】

[1] 〘自ハ四〙 =むしばむ(虫食)(一)〔書言字考節用集(1717)〕
[2] 〘他ハ五(四)〙 =むしばむ(虫食)(二)
※海に生くる人々(1926)〈葉山嘉樹三六「味気ない淋しさに心を虫食はれた」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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