虚妄(読み)きょもう

精選版 日本国語大辞典 「虚妄」の意味・読み・例文・類語

きょ‐もう ‥マウ【虚妄】

〘名〙 (「きょ」は「虚」の漢音、「もう」は「妄」の呉音)
① 根拠も理由もないこと。きょぼう。
※山鹿語類(1665)二一「動静処を得て気に虚妄なきを以て、心これがために妄動放心する事不有也」
事実でないこと。うそ。いつわり。きょぼう。
※俳諧・蓼すり古義(1771)「粟食の焦て匂ふや霜の声〈晉子〉 是嘘妄也。〈略〉其短尺を何かたよりか得て、附会して伝書の証に、偽言ものにして正しからぬ事なり」 〔南史‐何遠伝〕
迷信。迷い。きょぼう。
※旧習一新(1875)〈増山守正〉上「各自各卦の相違あって必ず一卦に帰すべからず。是れ虚妄無益の確証なり」
[補注]仏教関係では「こもう」と呉音で読み、また「色葉字類抄」や「節用集」の類も同様であるから、古くは「こもう」と読まれたらしい。→虚妄(こもう)

こ‐もう ‥マウ【虚妄】

〘名〙 (「こ」「もう」は、それぞれ「虚」「妄」の呉音)
① 真実でないこと。うそ。いつわり。虚偽。そらごと。きょもう。きょぼう。
法華義疏(7C前)一「凡虚妄者、非善言善、非悪言悪、欲前人是名虚妄
② (━する) 他の金品をごまかして自分の物とすること。横領すること。
※浄瑠璃・末広十二段(1715頃)二「金二百両投出し、サア皆寄って分けて取れ、全くこもうは致さぬぞ」

きょ‐ぼう ‥バウ【虚妄】

〘名〙 (「きょ」「ぼう」は「虚」「妄」の漢音)
新聞雑誌‐一五号・明治四年(1871)一〇月「数月前より魯西亜(オロシヤ)政府大に兵を調するの巷説(うはさ)あり〈略〉其虚妄(キョボウ)ならざるを見るべし」

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デジタル大辞泉 「虚妄」の意味・読み・例文・類語

こ‐もう〔‐マウ〕【虚妄】

うそ。いつわり。虚偽。きょもう。
「諸仏菩薩ぼさつ誓願はもとより―なし」〈今昔・一七・一七〉
金品をごまかして着服すること。
東雲しののめ茶碗を―せしと言ひ触らし」〈伎・小紋単地〉

きょ‐ぼう〔‐バウ〕【虚妄】

きょもう(虚妄)

きょ‐もう〔‐マウ〕【虚妄】

事実でないこと。うそいつわり。うそ。こもう。きょぼう。「虚妄の説」

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普及版 字通 「虚妄」の読み・字形・画数・意味

【虚妄】きよもう(まう)

でたらめ。〔論衡、対作〕世俗の性、奇怪の語を好み、(よろこ)ぶ。

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