(読み)せたげる

精選版 日本国語大辞典 「虐」の意味・読み・例文・類語

せた・げる【虐】

〘他ガ下一〙 せた・ぐ 〘他ガ下二〙
① 攻めたてる。攻撃する。
※芸大本平家(13C前)一二「兵共命を惜まず防ぐ間、毎度に御方逐落さる、敵をせたぐるに及ばず」
② 過ちなどを、ひどく責める。責めたてる。
※百丈清規抄(1462)一「はれがましい処へ阿難そぼそぼとして面目なうてできられたを仏にせたけられたぞ」
目下のものや弱いものをいじめる。ひどいめにあわせる。虐待する。しいたげる。
※尚書抄(16C前‐中)六「民が咎もなきに紂が我をせたくると云ことを天に呼て告なり」
浄瑠璃大塔宮曦鎧(1723)つはもの万歳「京の仕置は関東任せ宮方ひづめ公家衆倒し。百姓虐(セタ)げ、町人いぢり」
④ せきたてる。いそがせる。催促する。取り立てる。
※書陵部本応仁記(15C後)「課役半済、せめせたげて、我物がほの金刀はと」
咄本・軽口扇の的(1762)五「大晦日に借銭こいに陵(セタケ)らるる、其あいさつにひまなかりしが」

しえた・げる しへたげる【虐】

〘他ガ下一〙 しへた・ぐ 〘他ガ下二〙 (「しえたく」「しえだく」とも)
① むごくあつかう。くるしめる。虐待する。しいたげる。
霊異記(810‐824)中「小川の市の内に住み、己が力を恃み、往還商人を凌(シヘタ)け弊ひ〈国会図書館本訓釈 弊 師倍太計〉」
無実の罪におとしいれる。ぬれぎぬをきせる。だます。
※観智院本名義抄(1241)「寃 シヘダク」
③ 征服する。制する。
保元(1220頃か)上「合戦の手だて様々に候へ共、即時に敵をしへたげ、たち所に利をうる事、夜討ちに過ぎたる事候はず」

しいたげ しひたげ【虐】

〘名〙 (動詞「しいたげる(虐)」の連用形名詞化) むごくあつかうこと。いじめること。ひどいあつかい。虐待。
※或る女(1919)〈有島武郎〉前「母の虐(シヒタ)げ、五十川女史の術数近親圧迫、社会の環視、女に対する男の覬覦(きゆ)

せいた・ぐ【虐】

〘他ガ下二〙 虐待する。むごくあつかう。また、無実の罪におとす。しえたぐ。しいたげる。〔文明本節用集(室町中)〕
※ぎやどぺかどる(1599)下「わが掟に随はず、汝等よりうけおひたる者責めせいたげて」

せたぐ・る【虐】

〘他ラ四〙 =せたげる(虐)
※浄瑠璃・感陽宮(1657)四「それ天子と成ては〈略〉万民のめくむをもって君とす、なんぞたみをせたぐり、悪逆無道」

ぎゃく【虐】

〘名〙 しいたげること。むごく取り扱うこと。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
※浄瑠璃・曾我扇八景(1711頃)十番斬「をしへずして殺すを虐といひ」 〔書経‐伊訓〕

ぎゃく‐・す【虐】

〘他サ変〙 人をひどく扱う。しいたげる。
※集義和書(1676頃)七「下を虐するに及ぶの楽み多し」

しいた・げる しひたげる【虐】

〘他ガ下一〙 しひた・ぐ 〘他ガ下二〙 (「しえたげる(虐)」の変化した語) むごくあつかう。いじめる。虐待する。〔和英語林集成(再版)(1872)〕

しいた・ぐ しひたぐ【虐】

〘他ガ下二〙 ⇒しいたげる(虐)

しえた・ぐ しへたぐ【虐】

〘他ガ下二〙 ⇒しえたげる(虐)

せた・ぐ【虐】

〘他ガ下二〙 ⇒せたげる(虐)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「虐」の意味・読み・例文・類語

ぎゃく【虐】[漢字項目]

常用漢字] [音]ギャク(呉)(漢) [訓]しいたげる
むごい扱いをする。「虐殺虐政虐待残虐嗜虐しぎゃく自虐暴虐

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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