藤原時長(読み)ふじわらのときなが

朝日日本歴史人物事典 「藤原時長」の解説

藤原時長

生年生没年不詳
鎌倉前期の人物。『平家物語』の作者のひとりとされる。藤原盛隆の子。従四位(または正五位)民部少輔。その叔父行隆は『平家物語』に登場し,行隆の子の信濃前司行長は『徒然草』では『平家物語』作者に擬せられている。また,叔父盛方の母は平忠盛の娘。叔母には平時忠室で安徳天皇乳母の典侍,建春門院女房の帥がいるなど,平家ゆかりの人々に囲まれている。様々な『平家物語』成立説に関し,時長は作者のひとりと目され,『尊卑分脈』には「書平家物語其一人也」「平家物語作者随一云々」とある。また,『醍醐雑抄』には将門記および保元・平治・平家物語の作者という説,24巻本の作者で伊勢神宮に奉納したという説,源光行の協力で完成したという説などが書かれている。

(櫻井陽子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android