藤原審爾(読み)フジワラシンジ

デジタル大辞泉 「藤原審爾」の意味・読み・例文・類語

ふじわら‐しんじ〔ふぢはら‐〕【藤原審爾】

[1921~1984]小説家東京の生まれ。私小説的な恋愛もので執筆活動をスタートするが、その後は推理小説社会派問題作領域を広げる。「罪な女」およびその他作品直木賞受賞。他に「秋津温泉」「赤い殺意」「死にたがる子」など。映像化された作品も数多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「藤原審爾」の意味・わかりやすい解説

藤原審爾
ふじわらしんじ
(1921―1984)

小説家。東京生まれだが、幼少年期を父の郷里、岡山県で過ごす。青山学院高商部を結核中途退学奥津温泉両親のいない少年を描く清洌(せいれつ)な恋愛小説『秋津温泉』(1947)を『人間』に発表。第二次世界大戦後の混乱期に新進作家として登場。のち風俗作家として、アメリカ兵相手の娼婦(しょうふ)や男女の愛欲関係を叙情的な筆致で描く。『罪な女』(1952)で第27回直木賞受賞。推理小説に『赤い殺意』(1959)などがある。日本共産党系の刊行物に発表した作品『死にたがる子』(1978)、『落ちこぼれ家庭』(1979)などで社会的な焦眉(しょうび)の問題を扱った問題小説にも意欲を示す。

[伊藤和也]

『『藤原審爾作品集』全7巻(1957~58・森脇文庫)』

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百科事典マイペディア 「藤原審爾」の意味・わかりやすい解説

藤原審爾【ふじわらしんじ】

小説家。東京生れ。幼時に両親を失い,岡山県の祖母のもとで育つ。肺結核のため青山学院高商中退。《秋津温泉》(1947年)などの抒情的私小説地歩を得てのち,屈折した過去を背景とする《愛撫》《魔子を待つ間》などで非情な愛欲関係を描く私小説を多作するが,しだいに風俗小説に転じた。《罪な女》(1952年,直木賞),《殿様と口紅》(小説新潮賞),《泥だらけの純情》など,幅広く大衆小説を執筆。他に社会性の濃い《さきに愛ありて》,教育問題をテーマとする《まだ愛を知らない》など。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「藤原審爾」の解説

藤原審爾 ふじわら-しんじ

1921-1984 昭和時代後期の小説家。
大正10年3月7日生まれ。外村(とのむら)繁に師事。昭和22年「秋津温泉」で作家としてみとめられる。私小説から風俗小説に転じ,27年「罪な女」で直木賞。「赤い殺意」など推理小説もかく。昭和59年12月20日死去。63歳。東京出身。青山学院中退。

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