藍田
らんでん / ランティエン
中国、陝西(せんせい)省中部の県。西安(せいあん)市に属する。人口65万4500(2014)。県政府所在地は藍関(らんかん)街道。西安の南東郊外、㶚河(はが)の上流、終南山(しゅうなんざん)山麓の黄土(こうど)台地上に位置する。玉(ぎょく)の美しいものを藍といい、この付近の山でそれを産するところから県名ができたという。県の南東より藍田関を通って秦嶺(しんれい)山脈を越える道は、関中(かんちゅう)より湖北(こほく)へ至る要路の一つである。平野部では小麦、トウモロコシなどを、山地ではアブラギリ、ウルシ、薬材などを産する。農業中心で、工業化は遅れている。
上下悟真寺(じょうげごしんじ)、水陸庵(あん)などの史跡があるほか、1963~1964年に発見された洪積世(更新世)の人類化石は、藍田原人として有名である。
[秋山元秀・編集部 2017年7月19日]
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らんでん【藍田】
中国、陝西省西安市の東南の秦代以来の県名。化石人類、藍田人の発掘された地として有名。また、驪山
(りざん)の南につづく山地で、古来美しい玉を産出する。
玉山。覆車山。
※宝覚真空禅師録(1346)乾・遊覧作用・久旱遇雨、依韵旌嘉賞「筆底天葩発二艷陽一、藍田烟暖玉添レ秧」
あい‐だ あゐ‥【藍田】
〘名〙 藍を植える田。藍を刈り採った後に稲を作る
二毛作の田。年貢は上田より高かった。
※農政本論(1829)中「
麦田〈略〉藍田
(アヰダ)も亦皆両毛作りの田なり」
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デジタル大辞泉
「藍田」の意味・読み・例文・類語
らんでん【藍田】
中国陝西省西安市の南東部の県。また、その東にある、美玉を産した山。
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らんでん【藍田 Lán tián】
中国,陝西省西安市の南東約30kmにある県。前4世紀,秦の孝公のときに県が設置されたのに始まる。長安を取り巻く要衝の一つとして,唐代に至るまでほぼ京兆に属した。藍田の南東にある嶢(ぎよう)関(藍田関)に秦軍と対峙した漢の高祖劉邦が,張良の奇計を用いて大いに秦を破り,藍田から咸陽に入って関中一番乗りを果たすとともに,秦の2世皇帝の降服をうけたことは著名な史実である。ところで〈玉の美なるものを球といい,その次なるを藍という〉と称するように,県内に美玉を出すことより藍田の名がおこった。
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世界大百科事典内の藍田の言及
【旧石器時代】より
…上記の年代が確実であれば,西侯度と元謀の資料はアフリカのオルドバイ文化に対比されるものであり,中国にも猿人(アウストラロピテクス)の文化が存在したことになる。また約100万年前の人類頭蓋骨と顔の一部の化石が陝西省藍田県公王嶺から発見され,石器と哺乳動物化石も伴出した。山西省匼河(あんが)では黄土の下の砂礫層中から,公王嶺と同時期のチョッパー,チョッピングトゥール,スクレーパー,三稜尖頭器などの石器138点が発掘された。…
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