(読み)くんずる

精選版 日本国語大辞典 「薫」の意味・読み・例文・類語

くん‐・ずる【薫】

[1] 〘自サ変〙 くん・ず 〘自サ変〙
① 香りがただよう。かおる。におう。くんじる。
※栄花(1028‐92頃)音楽「いろいろの宝の香どもを焚かせ給へれば、香くんじたり」
② 風が青葉の香りを吹きおくってくる。くんじる。
[2] 〘他サ変〙 くん・ず 〘他サ変〙
① かおらせる。におわせる。くんじる。
※栄花(1028‐92頃)鳥の舞「銀・黄金香炉にさまざまの香をたきてくむじ合せたる程」
② においをうつす。香りをしみつける。
※法相二巻抄(1242か)上「其中に実法はみな種子より生じて種子を薫ず。薫ずと申は己が気分を留めて置なり」

くん・じる【薫】

(サ変動詞「くんずる(薫)」の上一段化したもの)
[1] 〘自ザ上一〙 =くんずる(薫)(一)〔和英語林集成初版)(1867)〕
[2] 〘他ザ上一〙 =くんずる(薫)(二)

くん‐・ず【薫】

〘自他サ変〙 ⇒くんずる(薫)

くん【薫】

〘名〙 香草

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デジタル大辞泉 「薫」の意味・読み・例文・類語

くん【薫】[漢字項目]

常用漢字] [音]クン(呉)(漢) [訓]かおる
よい香りが立ちこめる。よい香りをくゆらせる。かおり。「薫煙薫香薫風余薫
(「」と通用)燃やして煙を立てる。いぶす。「薫製
徳で人を感化する。「薫育薫染薫陶
[名のり]かお・くる・しげ・ただ・つとむ・にお・のぶ・ひで・ふさ・ほう・まさ・ゆき
難読薫物たきもの

くん【薫】

よいにおい。かおり。また、よいかおりのする草木

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「薫」の解説

かおる

源氏物語」の「宇治十帖」の主人公
光源氏正妻の女三宮と頭中将(とうのちゅうじょう)の長男柏木との不義の子。道心をいだいて,俗聖(ぞくひじり)の宇治八宮のもとに出入りするうちに,宮の娘の大君に恋するようになるが,大君はこばんだまま死去。大君によくにた異腹の妹の浮舟愛人とするが,匂宮にうばわれる。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【源氏物語】より

…初老の源氏は兄朱雀院に頼まれてその皇女女三宮(おんなさんのみや)と結婚する。未熟な宮はやがて青年柏木と密通し,薫(かおる)を生む。夫の裏切りに傷ついた紫上も傷心の末病死する。…

※「薫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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