薩藩旧記雑録(読み)さつぱんきゆうきざつろく

日本歴史地名大系 「薩藩旧記雑録」の解説

薩藩旧記雑録(旧記雑録)
さつぱんきゆうきざつろく

前編四八巻・後編一〇二巻・追録一八二巻・付録三〇巻

別称 旧記雑録(原名) 伊地知季安・伊地知季通

分類 記録

写本 国会図書館・国立公文書館・九州大学・東京大学史料編纂所・鹿児島県立図書館など

解説 幕末鹿児島藩の史学者・記録奉行であった父季安の志を継ぎ、季通がその収集史料に増補を重ね編年集成した島津家を中心とする鹿児島藩関係史料集。写本はそれぞれ収載史料に相違がみられ、長年にわたる編者季通の補充作業を示すものと考えられる。時代は延暦二二年から明治二八年に至る。収載史料のなかには原本の失われた文書も多く、貴重。昭和四五年から同六一年にかけて「鹿児島県史料」に旧記雑録前編一・二(延暦二二年―天文二三年)、後編一―六(天文二四年―正保元年)、追録一―八(正保二年―明治二八年)、付録一―二(年代不明文書)として翻刻されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「薩藩旧記雑録」の意味・わかりやすい解説

薩藩旧記雑録
さっぱんきゅうきざつろく

島津家関連の、鹿児島(薩摩(さつま))藩領域にある史料の年次順史料集。島津家文書をもとに、1041年(長久2)から1895年(明治28)までの文書、記録を収載している。基本を鹿児島藩記録奉行の伊地知季安(いじちすえやす)が編纂(へんさん)を始め、その子季通(すえみち)が協力し1897年ごろの分まで補追した。季通が島津家に提出した原本が島津家本で、国宝島津家文書に含まれ、現在は東京大学史料編纂所の所蔵。この原本の名称は『旧記雑録』となっており、前編(長久2~天文23年を収載)48巻、後編(弘治元年~正保元年を収載)102巻、追録(正保2年~明治28年を収載)182巻、附録(年次不詳を収載)30巻の計362巻と膨大で、長期間にわたる史料を編者の高度な見識で選択した。鹿児島史の根本史料集で、全国の地域史料集の中で藩政期に編纂が始められていることでも類例がない。『鹿児島県史料』として全巻公刊された。内閣文庫と鹿児島県立図書館に稿本がある。

三木 靖]

『五味克夫著『「旧記雑録」解題 鹿児島県史料「旧記雑録」追録1、前編1』(1970・鹿児島県)』

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改訂新版 世界大百科事典 「薩藩旧記雑録」の意味・わかりやすい解説

薩藩旧記雑録 (さっぱんきゅうきざつろく)

島津家を中心とした薩摩藩関係史料集。原名は《旧記雑録》。伊地知季通編。幕末薩摩藩の史学者,記録奉行であった父季安の志をつぎ,その収集史料に増補を重ね編年集成したもの。前編48巻,後編102巻,追録182巻,付録30巻からなり,時代は平安より明治まで。収載史料ですでに原本の失われた文書も多く,その存在は貴重。《鹿児島県史料》として刊行中。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「薩藩旧記雑録」の意味・わかりやすい解説

薩藩旧記雑録
さっぱんきゅうきざつろく

薩摩国 (鹿児島県) 関係の史料集成。 362巻。原題には『旧記雑録』としかないが,一般には『薩藩旧記』といわれる。薩摩藩の国老伊地知季安 (1781~1867) が藩主島津斉彬 (なりあきら) の命を受けて,文化年間 (04~17) 末期頃から編集に着手した。平安時代末期に豪族惟宗広言が島津荘の荘官となり島津を称して以来明治にいたるまでの 700年間もの長い間の史料を前編と後編とに分ち,年代順に配列している。子の伊地知季通によって 1897年頃完成。『九州史料叢書』に一部所収。

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百科事典マイペディア 「薩藩旧記雑録」の意味・わかりやすい解説

薩藩旧記雑録【さっぱんきゅうきざつろく】

旧記雑録

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