薄茶(読み)うすちゃ

精選版 日本国語大辞典 「薄茶」の意味・読み・例文・類語

うす‐ちゃ【薄茶】

〘名〙 (「うすぢゃ」とも)
抹茶一種製法濃茶(こいちゃ)と変わらないが、古木でない茶の葉から製したもの。また、それでたてた茶。濃茶より抹茶の分量を少なくしてたてる。おうす。⇔濃茶(こいちゃ)
上井覚兼日記‐天正一一年(1583)三月五日「其後種々閑談共過候て、うす茶にて候」
※染物重宝記(1784)茶ぞめ惣名に品ある事(古事類苑・産業一五)「やなぎちゃ、うぐひす茶、〈略〉右五色を薄ちゃといふ」

うすちゃ‐・ける【薄茶】

〘自カ下一〙 薄く茶色がかる。
雪国(1935‐47)〈川端康成〉「薄茶けた明りの下に」

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デジタル大辞泉 「薄茶」の意味・読み・例文・類語

うす‐ちゃ【薄茶】

抹茶の一。製法は濃い茶と変わらないが、古木でないチャの葉から製するもの。また、それでたてた茶。濃い茶より抹茶の量を少なくする。おうす。→薄茶点前濃い茶
薄い茶色。薄茶色
[類語]日本茶緑茶グリーンティー煎茶玉露番茶ほうじ茶玄米茶碾茶てんちゃ抹茶碾き茶お薄濃い茶芽茶葉茶茎茶粉茶銘茶粗茶渋茶新茶空茶からちゃ出涸らし

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飲み物がわかる辞典 「薄茶」の解説

うすちゃ【薄茶】


茶の湯で用いる抹茶の一種。また、これを用いた点前(てまえ)。おおむね茶杓2杯(1.2~1.7g)ほどの抹茶を柄杓に半量ほどの湯で溶かし、濃茶(こいちゃ)に比べてさらりとした薄い茶を泡立てるようにしてたてる。普通、1人前ずつたてて供する。抹茶は、茶の木に新芽が出たらよしずや稲わら、黒の寒冷紗(かんれいしゃ)(目の粗い薄地の織物)などで茶園をおおって20日程度直射日光を遮って育てた若い芽を用いるが、薄茶の栽培では濃茶ほど遮光性の高いおおいにせず、また、比較的樹齢の若い木を用いる。一般に濃茶よりもタンニンの含有量が多く、少し苦みや渋みがある。元来は、生産地で濃茶の碾茶を袋に入れて茶壺に納め、周囲の隙間緩衝材として入れた茶葉をひいたもの。◇「おうす」ともいう。また、薄茶は「点()てる」という。⇒濃茶

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「薄茶」の意味・わかりやすい解説

薄茶
うすちゃ

抹茶(まっちゃ)の一種であり、その抹茶を使用して点(た)てる薄茶点前(てまえ)の略称。濃茶(こいちゃ)に対する語。薄茶と濃茶とは茶質による違いであり、それによって点て方にも違いが生じる。葉茶壺(つぼ)に保存する場合、濃茶に使用する葉茶は白い袋に詰めて茶壺に入れるものであるが、その濃茶の袋が湿らないように、茶壺いっぱいに葉茶を詰め込み、茶壺の口の封をする。この中の葉茶の部分が薄茶となる。すなわち、濃茶に比べて質の劣る葉茶を粉末にして点てるのが薄茶である。一定した量ではないが、通常薄茶は、おおよそ一服1.75グラムほど使用するものである。濃茶に対する薄茶の語が生まれたのは、天文(てんぶん)年間(1532~55)と考えられる。

[筒井紘一]

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百科事典マイペディア 「薄茶」の意味・わかりやすい解説

薄茶【うすちゃ】

抹茶(まっちゃ)の一種。比較的樹齢の若い茶の木から製する。濃茶(こいちゃ)に対する。茶道においては薄茶点前(てまえ)をさす。これは一人に一碗ずつ薄めにあわ立ててたてるもので,飲みまわすことなく,茶道具も濃茶に対して手軽なものが用いられる。
→関連項目点前挽茶

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改訂新版 世界大百科事典 「薄茶」の意味・わかりやすい解説

薄茶 (うすちゃ)

点前(てまえ)

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普及版 字通 「薄茶」の読み・字形・画数・意味

【薄茶】はくさ

おうす。

字通「薄」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の薄茶の言及

【点前】より

…茶の湯の用語の一つで,茶を点ずるための順序,手続をいう。抹茶を点ずる,または点(た)てるしかたには濃茶(こいちや)と薄茶の区別がある。濃茶は練る,薄茶を点てるといい,その手続を濃茶点前,薄茶点前という。…

【挽茶】より

…この状態の茶葉を碾茶(てんちや)と呼び,これを茶臼でひいて粉末にしたものを飲用する。薄茶,濃茶(こいちや)の別があり,昔は使用される茶葉の部位などによって区別されていたが,現在では濃茶は甘味の多い濃厚なもの,薄茶はややあっさりした味のものになっている。いずれにせよ,使用する茶葉全体を粉末にして飲むので,茶葉の含有する葉緑素,植物繊維,タンニン,ビタミン,カフェインその他,すべての成分を利用することができる。…

※「薄茶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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