日本大百科全書(ニッポニカ) 「蕗谷虹児」の意味・わかりやすい解説
蕗谷虹児
ふきやこうじ
(1898―1979)
挿絵画家。本名一男(かずお)。新聞記者の子として新潟市に生まれ、幼くして母と死別。尾竹竹坡(ちくは)の弟子となり、17歳より数年間を樺太(からふと)(サハリン)での青春放浪に送る。21歳で上京し、少女雑誌や女性雑誌の挿絵を描いて人気叙情画家となった。大正末年に渡仏、帰国後は叙情小曲や小説にも筆を染めた。童謡『花嫁人形』は佐々木すぐるの曲を得て広く歌われた。挿絵の画風は少女の感性に添ったセンチメンタルな線描画中心で、その画風を自ら「抒情(じょじょう)画」と称した。詩画集『睡蓮(すいれん)の夢』(1924)、自伝小説『花嫁人形』(1967)などがある。
[上笙一郎]
『『蕗谷虹児画集』(1975・講談社)』▽『『蕗谷虹児抒情画大集』(1974・講談社)』▽『『蕗谷虹児童画集』(1976・東京新聞出版局)』