(読み)つた

精選版 日本国語大辞典 「蔦」の意味・読み・例文・類語

つた【蔦】

〘名〙
ブドウ科の落葉性つる植物。各地の山林、岩壁、石垣などに生え、秋の紅葉が美しく盆栽にしたり壁や石垣などにはわせる。葉の反対側に巻ひげが出るが二節続いて出ると次の一節には出ない性質がある。また巻ひげは小形で枝分れし先端に吸盤があって、他物に吸着する。葉は長柄をもち掌状に二~三裂するか、卵形の三個の小葉からなる。夏、短枝の先端に短い花序を出し黄緑色の小さな五弁花を集める。果実は球形の液果で紫黒色に熟す。和名は、伝うの意からという。漢名、爬山虎。地錦。なつづた。つたもみじ。紅葉づた。《季・秋》
万葉(8C後)二・一三五「さ寝し夜は いくだもあらず 這ふ都多(ツタ)の 別れし来れば」
※俳諧・野ざらし紀行(1685‐86頃)「蔦植て竹四五本のあらし哉〈芭蕉〉」
紋所の名。蔦の葉をかたどったもの。蔦、蔦の花、中陰蔦、結び蔦などがある。
※雑俳・柳多留‐一一(1776)「ぬけ参り蔦に取つき登る也」

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デジタル大辞泉 「蔦」の意味・読み・例文・類語

つた【×蔦】

ブドウ科の落葉性のつる植物。吸盤のある巻きひげで木や岩に固着する。葉は卵形で、ふつう三つに裂けており、秋に紅葉する。夏、黄緑色の小花が集まって咲き、実は黒紫色に熟す。日本・朝鮮半島・中国に分布。なつづた。 秋》「―植ゑて竹四五本のあらし哉/芭蕉
紋所の名。ツタの葉をかたどったもの。鬼蔦・中陰蔦・結び蔦など。
ツタの葉に似せたひもの結び方。つたむすび。

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改訂新版 世界大百科事典 「蔦」の意味・わかりやすい解説

蔦[温泉] (つた)

青森県中央部,十和田市の旧十和田湖町にある温泉。八甲田火山群の山懐にあり,周囲ブナ原生林につつまれた閑静な温泉地である。泉質はボウ硝泉,泉温52℃。この地を愛し,幾度となく訪れた大町桂月の墓がある。付近には蔦沼をはじめとする〈蔦の七沼〉があり,新緑や紅葉の季節には観光客でにぎわう。東北本線青森駅からバスの便があるが,冬季は運休する。
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動植物名よみかた辞典 普及版 「蔦」の解説

蔦 (ツタ)

学名:Parthenocissus tricuspidata
植物。ブドウ科の落葉つる性植物,園芸植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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