精選版 日本国語大辞典「蔓」の解説
つる【蔓】
〘名〙
※新撰六帖(1244頃)六「みさびまじるひしのうきつるとにかくにみだれて夏の池さびにけり〈藤原信実〉」
② (「鉉」とも) 鉱脈。
※梅津政景日記‐慶長一七年(1612)三月一〇日「間歩よりつるぬすみ候大工籠者致候」
③ 金銭を手に入れる手段や手がかり。金銭を出してくれる人。かねづる。
※俳諧・西鶴五百韻(1679)何鞠「栄螺のからは野辺農すて菴〈西鶴〉 かねのつる光もとめて暮の月〈西六〉」
④ 入牢者が虐待を免れるために、ひそかに牢内へ持参し牢名主などに贈る金。つるがね。
※歌舞伎・四千両小判梅葉(1885)大切「蔓(ツル)は元より、見舞物で中も富貴だ」
⑤ たよりにしてすがる手がかり。つて。てづる。
※社会百面相(1902)〈内田魯庵〉猟官「自分も出世の蔓(ツル)を捜したら宜(よ)ささうなものだのに」
⑥ めがねの、耳にかける部分。
※太政官(1915)〈上司小剣〉四「蔓の折れたのを紙捻で繋いだ眼鏡を外して」
つら【蔓】
〘名〙 「つる(蔓)」の古語。つる草。
※古事記(712)中・歌謡「なづきの 田の稲幹(いながら)に 稲幹に 這(は)ひ廻(もとほ)ろふ 薢(ところ)豆良(ヅラ)」
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