精選版 日本国語大辞典 「蓴菜」の意味・読み・例文・類語
じゅん‐さい【蓴菜】
〘名〙
[一] スイレン科の水生多年草。各地の古い池沼に生える。泥中の根茎から長い茎をのばし水面に葉を浮かべる。葉は楕円状楯形で長さ五~一〇センチメートル。若い茎と葉は粘り気のある寒天質に包まれている。夏、葉腋(ようえき)から花柄を出し、六花被片をもつ淡紅色の小さな花を開く。若芽は食べられる。漢名、蓴。ぬなわ。《季・夏》
① ぬらりくらりしていること。どっちつかずであること。不得要領なこと。また、その人やさま。
※浮世草子・世間旦那気質(1773)五「蓴菜(ジュンサイ)とはなぜにいふへ。はておまへ追従ばかりいふて、あちらでもこちらでもぬらりぬらりといふ心じゃはいのふ」
② (①から転じて) いいかげんなこと。でたらめなこと。誠意のないこと。薄情なこと。また、そのさま。
※洒落本・戯言浮世瓢箪(1797)五「信はまことなれば、彼(かの)蓴菜(ジュンサイ)ぬめたをはなれ、我(こっ)ちから、信でゆけば、まことで返す」
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