蓴菜(読み)じゅんさい

精選版 日本国語大辞典 「蓴菜」の意味・読み・例文・類語

じゅん‐さい【蓴菜】

〘名〙
[一] スイレン科の水生多年草。各地の古い池沼に生える。泥中の根茎から長い茎をのばし水面に葉を浮かべる。葉は楕円状楯形で長さ五~一〇センチメートル。若い茎と葉は粘り気のある寒天質に包まれている。夏、葉腋(ようえき)から花柄を出し、六花被片をもつ淡紅色の小さな花を開く。若芽は食べられる。漢名、蓴。ぬなわ。《季・夏》
経国集(827)一四・漁歌五首〈嵯峨天皇〉「鱸魚膾蓴菜羹、飡罷酣歌帯月行」 〔岑参‐送許子擢第帰江寧拝親因寄王大昌齢詩〕
[二] (形動) 蓴菜の若葉がぬるぬるしていて、はしではさみにくいところから、それにたとえて上方でいう。
① ぬらりくらりしていること。どっちつかずであること。不得要領なこと。また、その人やさま。
※浮世草子・世間旦那気質(1773)五「蓴菜(ジュンサイ)とはなぜにいふへ。はておまへ追従ばかりいふて、あちらでもこちらでもぬらりぬらりといふ心じゃはいのふ」
② (①から転じて) いいかげんなこと。でたらめなこと。誠意のないこと。薄情なこと。また、そのさま。
洒落本・戯言浮世瓢箪(1797)五「信はまことなれば、彼(かの)蓴菜(ジュンサイ)ぬめたをはなれ、我(こっ)ちから、信でゆけば、まことで返す」

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デジタル大辞泉 「蓴菜」の意味・読み・例文・類語

じゅん‐さい【×蓴菜】

ジュンサイ科の水生の多年草。池沼に生え、葉は長さ約10センチの楕円形で長い柄をもち、水面に浮かぶ。若芽や新葉表面に寒天様の粘液を多く分泌する。5、6月ごろの若芽・若葉は食用となり、珍重される。ぬなわ。 夏》「―を里人知らぬ古江かな/乙字
[補説]「純菜」「順才」と当てて書くこともある。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「蓴菜」の解説

蓴菜 (ジュンサイ)

学名Brasenia schreberi
植物。スイレン科の浮葉性多年草,園芸植物,薬用植物

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