ほうらい【蓬莱】
[1]
[一] 中国の神仙思想で説かれる仙境の一つで、方丈、
瀛州(えいしゅう)とともに
三神山の一つ。渤海湾に面した山東半島のはるか東方の海中にあり、不老不死の
仙人が住むと伝えられるところ。
蓬莱山。
※文華秀麗集(818)中・答澄公奉献詩〈嵯峨天皇〉「杖レ錫凌二溟海一、躡レ虚歴二蓬莱一」
※竹取(9C末‐10C初)「東の海に
ほうらいと云山あるなり」 〔漢書‐郊祀志〕
[二] 富士山の異称。
※先哲叢談後編(1830)三・岡嶋冠山「自レ古唐山之人、称レ我為二蓬莱一者、以レ有二富嶽一也」
[三] 熊野の異称。
[四] 熱田神宮の異称。
[五] 江戸城の異称。
※雑俳・柳多留‐三七(1807)「蓬莱の中に動かぬ大武鑑」
[六] 台湾の異称。
[七] 長唄の曲名。天保年間(
一八三〇‐四四)、四世杵屋六三郎作曲。郭
(くるわ)を蓬莱山に見立て、これに
鶴亀・尉と媼
(おうな)などを配しためでたい曲。独吟用の曲。
[2] 〘名〙
① 蓬莱山をかたどった台上に、松竹梅、鶴亀、尉姥などを飾って、
祝儀や酒宴の飾りものとしたもの。蓬莱山。蓬莱盤。
蓬莱台。
※紫式部日記(1010頃か)寛弘五年一一月二二日「御前に扇ども数多さぶらふ中に、ほうらいつくりたるをしも選りたる」
② 主として関西で、新年の祝儀に、三方
(さんぼう)の上に白紙、羊歯
(しだ)、昆布などを敷き、その上に熨斗鮑
(のしあわび)・勝栗・野老
(ところ)・馬尾藻
(ほんだわら)・橙
(だいだい)・蜜柑などを飾ったもの。
蓬莱飾り。蓬莱山。蓬莱台。《季・新年》
※俳諧・毛吹草(1638)二「ほうらいの組付」
※浮世草子・日本永代蔵(1688)四「春の物とて是非調て蓬莱を餝りける」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
ほうらい【蓬莱】
岐阜の日本酒。酒名は、謡曲「鶴亀」に謳われた中国の伝説の桃源郷「蓬莱」にちなみ命名。大吟醸酒「極意傅」「超吟しずく」「大吟醸生」、純米吟醸酒「花もも」など多彩な商品群をそろえる。平成2、9、11、15、16、22年度全国新酒鑑評会で金賞受賞。原料米は山田錦、ひだほまれ。仕込み水は北アルプス山系の伏流水。蔵元の「渡辺酒造店」は明治3年(1870)創業。所在地は飛騨市古川町壱之町。
ほうらい【蓬莱】
熊本の日本酒。酒名は、創業者の出身地と、仙人が住むという中国の伝説の山「蓬莱」の名が同じだったことから命名。大吟醸酒、純米酒、本醸造酒、普通酒がある。主力の普通酒はやや辛口の味わい。原料米は山田錦など。仕込み水は筑後川水系の伏流水。蔵元の「河津酒造」は昭和7年(1932)創業。所在地は阿蘇郡小国町大字宮原。
ほうらい【蓬莱】
神奈川の日本酒。酒名は、蔵元の裏手にある天台山を中国の仙人伝説の山「蓬莱山」になぞらえて命名。純米大吟醸酒、純米吟醸酒、特別純米酒、本醸造酒などがある。原料米は美山錦、五百万石など。仕込み水は丹沢山系の伏流水。蔵元の「大矢孝酒造」は文政13年(1830)創業。所在地は愛甲郡愛川町田代。
出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報
デジタル大辞泉
「蓬莱」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
蓬莱(ほうらい)
岐阜県、有限会社渡辺酒造店の製造する日本酒。全国新酒鑑評会で金賞の受賞歴がある。
蓬莱
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