蒸留酒
じょうりゅうしゅ
酒類の製造法による分類で、醸造酒、混成酒に対する用語。アルコールを含んだ液(もろみ、果汁など)を加熱すると、アルコールなど揮発性成分は気体となって蒸発するので、これを冷却器に導いて回収することを蒸留という。この蒸留法には2法ある。単式蒸留機(ポットスチル)を用いるものは古くからの方法で、蒸留釜(がま)にもろみを入れ、ひと釜ずつ蒸留していくが、アルコール以外の揮発成分も多く、通常は2回蒸留を行う。製品のアルコール分は20~60%である。モルトウイスキー、ブランデー、本格焼酎(しょうちゅう)(しょうちゅう乙類)などは、この方法でつくられる。これに対して連続式蒸留機(パテントスチル)によるものは、いくつもの蒸留棚を積み重ねた塔に、一定速度でもろみを供給し、連続的に蒸留して95%のほぼ純粋なアルコールをとり、加水、熟成させてつくる。ブレンド用のグレンウイスキー、ウォツカ、しょうちゅう甲類などはこの方法でつくられる。
[秋山裕一]
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じょうりゅうしゅ【蒸留酒】
穀類、果実などの原料を発酵させ、この発酵液(醸造酒)を蒸留して濃縮した酒の総称。ウイスキー、ブランデー、ウオッカ、焼酎などがこれにあたる。醸造酒にくらべてアルコール度が高い。酒税法上の種類としては、「蒸留酒類」は品目が「単式蒸留焼酎」「連続式蒸留焼酎」「ウイスキー」「ブランデー」「原料用アルコール」「スピリッツ」に該当するものをいう。蒸留して製するものでも不揮発性の香味成分・糖類・有機酸などのエキス分を2度以上含有するものは含まない。⇒醸造酒、混成酒
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蒸留酒【じょうりゅうしゅ】
穀物,果実などを発酵させて作った酒を,さらに蒸留,濃縮してアルコール分を20度以上に高めた酒。ポットスチルを用い香味成分が失われないよう蒸留,これにより独特の風味も生じ,長く貯蔵するほど芳醇(ほうじゅん)になる。おもな蒸留酒として焼酎(しょうちゅう),ウィスキー,ジン,ブランデー,ウォッカ,ラム,コーリャン酒などがある。
→関連項目酒
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じょうりゅう‐しゅ ジョウリウ‥【蒸留酒】
〘名〙 穀類や果実などを、発酵させ、さらに蒸留してつくった酒。ウイスキー、ブランデー、ラム酒、焼酎(しょうちゅう)など。
※日本‐明治四〇年(1907)二月二五日「日本酒は蒸留酒に非ざれば」
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デジタル大辞泉
「蒸留酒」の意味・読み・例文・類語
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蒸留酒
醸造後に蒸留してアルコールと香気成分を回収して作った酒.アルコール含量の高い酒が得られる.
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じょうりゅうしゅ【蒸留酒】
穀類や果実などを原料とし,これらを発酵,蒸留してつくった酒。ビールや白ブドウ酒の発酵液(もろみ)を蒸留したものが,それぞれモルトウィスキーやブランデーであるように,伝統的醸造酒には対応する蒸留酒がある。 形状からみて,蒸留に使われたと思われる土器は,紀元前3000年ころのメソポタミア文明の遺跡から出土しているが,ブドウ酒の蒸留を記録したのはアリストテレス(前384‐前322)がはじめである。前4世紀末以降,アレクサンドリアを中心に花開いたヘレニズム文化は錬金術を発達させ,銅製の蒸留機アランビックがその道具として使われた。
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世界大百科事典内の蒸留酒の言及
【酒】より
… 日本の酒税法では,酒は〈アルコール分1度(容量比で1%)以上の飲料〉と定義され,液体に限らず糖類でアルコールなどの分子をくるんだ粉末状のものも酒とみなされるが,みそ,しょうゆのようにアルコールを1%以上含むものであっても嗜好(しこう)飲料として供しえないものは酒から除外されている。
【酒の種類】
酒は,製造法のうえから醸造酒,蒸留酒,混成酒の3種に分類されるが,日本の酒税法では清酒,合成清酒,焼酎,みりん,ビール,果実酒類,ウィスキー類,スピリッツ類,リキュール類,雑酒の10種類に分類される。なお酒税法上の種類名を製品に表示することが義務付けられている。…
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