蒸器(読み)むしき

精選版 日本国語大辞典 「蒸器」の意味・読み・例文・類語

むし‐き【蒸器】

〘名〙 食物を蒸すための容器蒸籠(せいろう)、御飯蒸しなどの類。
※流人島にて(1953)〈武田泰淳〉「束ねた網やロオプ、燻製用の蒸し器搾油機など積まれたうすくらがりに」

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デジタル大辞泉 「蒸器」の意味・読み・例文・類語

むし‐き【蒸(し)器】

食べ物を蒸すための道具蒸籠せいろう・御飯蒸しや蒸し鍋など。

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改訂新版 世界大百科事典 「蒸器」の意味・わかりやすい解説

蒸器 (むしき)

食物を蒸す道具。広義には木製の〈せいろう(蒸籠)〉や金属製の蒸器を含むが,狭義には後者をさすことが多い。古くこしき)と呼ばれる土器が蒸器として用いられていた。東アジアと東南アジアの一部で使われており,主食穀物を蒸すために発達したと考えられる。パンを焼く道具として古くからオーブンが発達している欧米には存在しない。せいろうには角型と丸型のものがあり,角型は厚めの板で井桁(いげた)に組んだ枠をもち,丸型は薄くはいだヒノキなどの板を円形に曲げ,サクラなどの木の皮でとじた曲物(まげもの)でつくられ,ともに底の渡し木の上に竹の簀(す)をしいて用いる。2段,3段に重ねて用いることができるようにも作られている。また用途に応じて大小がある。これを湯をわかしたなべあるいはかまの上にのせ,湯気によって食物を蒸す。日本では米は蒸さずに炊くようになったが,中世以後も餅,赤飯,酒作りなどにせいろうが盛んに用いられ,せいろうのない家庭はほとんどなかったといわれる。金属製蒸器は,せいろうと下がまとが一体化したものと考えることができ,明治期後半にブリキ製のせいろうとともに登場し,現在はアルマイト製がほとんどである。昭和20年代以降,他の器具出現や調理内容の変化により,蒸器のない家庭も多くなっている。蒸器の条件としては水蒸気が器内に平均的に充満し,余分な水蒸気が食物の上に滴下しないことがあげられ,断熱性・吸水性のよい材質が適する。その点木製のせいろうがよく,とくに中華せいろうは竹のふたの編目から水蒸気が適度に逃げ,蒸器として最適といわれる。
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