葦垣の(読み)アシガキノ

デジタル大辞泉 「葦垣の」の意味・読み・例文・類語

あしがき‐の【×葦垣の】

[枕]
葦垣は古びて見え、乱れやすく、また、その結び目は間が近いところから、「る」「乱る」「間近し」などにかかる。
「―古りにし里と」〈・九二八〉
「―ま近けれども逢ふよしのなき」〈古今・恋一〉
垣は内外の隔てとするところから「ほか」にかかる。
「―ほかに嘆かふあれし悲しも」〈・三九七五〉
葦を「よし」ともいうところから「吉野」にかかる。
「―吉野の山の花のさかりは」〈続後撰・春中〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「葦垣の」の意味・読み・例文・類語

あしがき‐の【葦垣の】

(「あしかきの」とも)
① 葦垣が、内と外とをへだてるところから、「ほか」にかかる。
万葉(8C後)一七・三九七五「我が背子に恋ひすべながり安之可伎能(アシカキノ)ほかに歎かふ我(あれ)しかなしも」
② 葦垣が古びて乱れやすいところから「古る」「思ひ乱る」にかかる。
※万葉(8C後)六・九二八「おしてる 難波(なには)の国は 葦垣乃(あしかきノ)(ふ)りにし里と 人みなの 思ひやすみて」
※万葉(8C後)一三・三二七二「天雲の ゆくらゆくらに 蘆垣乃(あしかきノ) 思ひ乱れて」
③ 葦垣は隙間無く葦を組むところから、「間近し」にかかる。
※古今(905‐914)恋一・五〇六「人知れぬ思ひやなぞとあしかきのまぢかけれども逢ふよしのなき〈よみ人しらず〉」
④ 葦の異名である「よし」と同音を持つ地名「吉野」にかかる。
※続後撰(1251)春中・七八「見てもなほ奥ぞゆかしきあしかきの吉野の山の花のさかりは〈後嵯峨院〉」

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