葛城(奈良盆地)(読み)かつらぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「葛城(奈良盆地)」の意味・わかりやすい解説

葛城(奈良盆地)
かつらぎ

奈良盆地南西部、金剛山地東麓(とうろく)の旧葛上(かつじょう)、葛下(かつげ)両郡にまたがる地域。記紀には「加豆良紀」「箇豆羅紀」とあり、近世まで「カヅ(ズ)ラキ」とよんだ。「葛木」とも書いた。1897年(明治30)葛上・忍海(おしみ)両郡をあわせ南葛城郡、葛下・広瀬両郡をあわせて北葛城郡となった。御所(ごせ)市西部の金剛山東麓は紀ノ川筋からの通路として古くから開け、古代大和(やまと)の豪族葛城氏の本拠地、仁徳(にんとく)天皇の皇后磐之媛(いわのひめ)の出身地である。『日本書紀』「神武(じんむ)紀」によれば、地名は、葛(クズ)の網で土蜘蛛(つちぐも)を掩殺(えんさつ)したことに由来する。金剛、葛城山中はいまもクズが生え葛根(かっこん)の採集地として知られる。「城」は唐風の美称的意味をもつ用字であるという。葛城山東麓を南北に延びる古街道が「葛城の道」として整備され、葛城の道歴史博物館もつくられている。なお、2004年(平成16)に北葛城郡の當麻(たいま)町と新庄(しんじょう)町が合併して、葛城市となっている。

[菊地一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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