落葉樹(読み)らくようじゅ(英語表記)deciduous tree

精選版 日本国語大辞典 「落葉樹」の意味・読み・例文・類語

らくよう‐じゅ ラクエフ‥【落葉樹】

〘名〙 秋や乾期になると成葉が枯れて落ち、一定の休眠期間後に再び新葉をだす樹木。主に温帯地方や熱帯の乾雨期の明瞭な地域では森林の主要構成樹種となっている。カエデ・ナラ・サクラ・カキ・キリ・アオギリなど。落葉木
※博物学階梯(1877)〈中川重麗訳〉「喬木は葉の性質に従ひ区別して落葉樹、常青樹とし」

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デジタル大辞泉 「落葉樹」の意味・読み・例文・類語

らくよう‐じゅ〔ラクエフ‐〕【落葉樹】

秋の低温期になると葉が枯れて落ち、翌春に新しい葉を生じる樹木。温帯に多く、大部分広葉樹で、夏緑樹ともいう。また、乾期になると葉が落ちる雨緑樹もあり、亜熱帯・熱帯にみられる。落葉木。→常緑樹
[類語]広葉樹闊葉樹かつようじゅ針葉樹コニファー常緑樹常盤木ときわぎ・照葉樹

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改訂新版 世界大百科事典 「落葉樹」の意味・わかりやすい解説

落葉樹 (らくようじゅ)
deciduous tree

常緑樹の対語で,葉の寿命が1年に満たず,すべての成葉を失って休眠状態に入る時期をもつ樹木。落葉樹の大半は広葉樹であるが,カラマツセコイアのような針葉樹の一部も含まれる。年間を通じて高温多湿で,寒さや乾燥という季節の明らかでない熱帯多雨林においても落葉樹は存在し,いつでも一部の種や個体が落葉して裸になっているが,1本の木で落葉した枝と葉のついた枝をもっていたり,裸になっても半月ほどで新しく葉を展開してしまうなど,常緑樹との区別ははっきりしない。雨緑林・夏緑林のように,乾燥・低温という生育に不適な季節がはっきりと出現してはじめて落葉樹の存在が明りょうとなる。生育不適期には,葉から養分を回収しておいて落葉し休眠する方が,葉を展開したまま被害を受けたり,光合成ができずに呼吸が上回ってマイナスの物質生産になるよりも植物にとって有利なためであると考えられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「落葉樹」の意味・わかりやすい解説

落葉樹
らくようじゅ

生育不適期に葉を落とす樹木のことで、乾期に落葉する雨緑樹と低温期に落葉する夏緑樹がある。雨緑林は、4~6か月の乾期をもち、1000~2000ミリメートルの年降水量を有する熱帯から亜熱帯地域に発達し、熱帯多雨林からサバナへの移行部で、多雨林を取り巻くように分布する。チークTectona grandis L. F.、サラソウジュサルShorea robusta Gaertn.は南アジアの雨緑林の構成種で、造林樹種としてもよく知られている。林内は放牧に利用され、乾期には野火のほか人為的な火入れも行われる。このため、下層植生が焼かれるので、林冠木は耐火性をもっている。一方、夏緑林は北半球の温帯北部に広く発達する。落葉は低温に対する適応であるが、落葉は温度を高く維持してもおこる。落葉樹林の北限は日平均気温10℃が120日以上までで、それ以下になると針葉樹に置き換わる。

[大澤雅彦]

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百科事典マイペディア 「落葉樹」の意味・わかりやすい解説

落葉樹【らくようじゅ】

葉の寿命が1年以内でふつう冬に一斉に落葉する樹木(夏緑)をいうが,熱帯〜亜熱帯で乾季に落葉するもの(雨緑)も含まれる。常緑樹の対。温帯に多くはえ,種類も多い。同一植物で環境により落葉樹であったり,常緑樹であったりするものもある。落葉樹にはブナ,ミズナラなどの落葉広葉樹と,カラマツ,セコイアなどの落葉針葉樹とがある。
→関連項目街路樹

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「落葉樹」の意味・わかりやすい解説

落葉樹
らくようじゅ
deciduous tree

毎年秋になると全部の葉が落葉して越年する樹木をいう。広葉樹はその例が多いが,なかでもサクラ,モミジが著しく,イチョウもその一つである。針葉樹ではカラマツ,ラクウショウ (ヌマスギ) などがその例である。カシワなどのように葉が枯れても必ずしも全部落葉しない植物もある。なお熱帯地方などでは寒冷季に対してでなく,乾季に向って落葉を起すものがある。

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デジタル大辞泉プラス 「落葉樹」の解説

落葉樹

1986年公開の日本映画。監督・原作・脚本:新藤兼人。出演:小林桂樹、乙羽信子、財津一郎、山中一希、川道信介、園みどり、若葉しをりほか。

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世界大百科事典(旧版)内の落葉樹の言及

【常緑樹】より

落葉樹の対語で,葉の寿命が1年以上あり,年中葉をつけている樹木。落葉樹とは葉の寿命で区別されるが,葉が革質や肉質で厚く光沢があるので,葉のついた状態でも,落葉樹と一見して見分けられることが多い。…

※「落葉樹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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