萩原雄祐(読み)ハギワラユウスケ

デジタル大辞泉 「萩原雄祐」の意味・読み・例文・類語

はぎわら‐ゆうすけ〔はぎはら‐〕【萩原雄祐】

[1897~1979]天文学者大阪の生まれ。東京帝大教授・東京天文台長。天体力学・理論天体物理学を専攻し、衛星や惑星等の運動を研究した。乗鞍のりくらコロナ観測所岡山天体物理観測所設立尽力したことでも知られる。著作に「天体力学基礎」など。昭和29年(1954)文化勲章受章。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「萩原雄祐」の意味・わかりやすい解説

萩原雄祐
はぎわらゆうすけ
(1897―1979)

天文学者。日本の天体力学の先駆者。大阪市に生まれる。1921年(大正10)東京帝国大学理学部天文学科卒業と同時に天文学教室助手兼東京天文台技手となる。平山清次(きよつぐ)に天体力学の指導を受け、1923年助教授昇進と同時に2年間欧米へ留学し、エディントンバーコフの講義に親しみ、理論天文学の素地を培う。1930年(昭和5)太陽系の力学的安定性に関する研究で学位を得、1935年教授兼技師となり、1944年学士院会員、1946年(昭和21)天文台長に就任した。台長在任中、乗鞍(のりくら)コロナ観測所(1949年開設)、岡山天体物理観測所(1960年開設)の二つの付属観測所の設立に努力し、また電波天文学に熱意を注ぎ、のちの野辺山(のべやま)の宇宙電波観測所の基礎を固めた。1954年文化勲章受章。1957年東京大学退職後も東北大学教授、宇都宮大学学長を歴任。国際天文学連合副会長はじめ多くの要職についた。著書名著『天体力学の基礎』(1976)があり、惑星状星雲の量子論的研究に関する論文などもよく知られる。

[島村福太郎 2017年7月19日]

『『天体力学の基礎』(1976・生産技術センター)』

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改訂新版 世界大百科事典 「萩原雄祐」の意味・わかりやすい解説

萩原雄祐 (はぎわらゆうすけ)
生没年:1897-1979(明治30-昭和54)

大阪市の生れ。1921年東京帝国大学を卒業後,同学において天体力学,理論天体物理学の研究・教育に携わり,日本の現時における天文学興隆の基礎を築いた。とくに1946年に東京天文台長となって戦後の復興に尽力し,乗鞍太陽コロナ観測所および188cm反射望遠鏡を擁する岡山天体物理観測所の建設に心血を注いだ。《天体力学Celestial Mechanics》(英文,5巻9冊)は,晩年の大著であり斯界の金字塔をなす。78年には生誕80歳と同書の完成を記念して,国際天文学連合シンポジウム〈太陽系の力学〉が東京で開催された。文化勲章(1954)ほか受章多数に及ぶ。なお,英語論文,著書にはHagiharaと記されている。
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百科事典マイペディア 「萩原雄祐」の意味・わかりやすい解説

萩原雄祐【はぎわらゆうすけ】

理論天文学者。大阪市出身。1921年東京帝国大学卒。1935年東大教授,1960年宇都宮大学長。第2次世界大戦後は東京天文台,乗鞍太陽コロナ観測所の建設に尽力,1960年には188cm反射望遠鏡を岡山県に設置(岡山天体物理観測所)するなど,日本の天文学の興隆に貢献。1954年文化勲章,1960年アメリカ合衆国科学アカデミーのワトソンメダル受章,1975年朝日賞。著書は英文の《天体力学》5巻など多数。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「萩原雄祐」の意味・わかりやすい解説

萩原雄祐
はぎわらゆうすけ

[生]1897.3.28. 大阪
[没]1979.1.29. 東京
天文学者。東京大学天文学科卒業 (1921) 。東京大学教授 (35~57) 。 1946年より東京天文台台長として戦災の復興にあたり,50年乗鞍コロナ観測所の設立,60年天体物理観測所 (岡山県竹林寺山) の 188cm反射望遠鏡 (東洋最大) の設置などに尽力した。 54年文化勲章,75年天体力学を集大成した"Celestial Mechanics"をまとめた業績により朝日賞 (文化賞) を受けた。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「萩原雄祐」の解説

萩原雄祐 はぎわら-ゆうすけ

1897-1979 大正-昭和時代の天文学者。
明治30年3月28日生まれ。昭和10年東京帝大教授,21年東京天文台長となり,乗鞍(のりくら)山頂のコロナ観測所,岡山天体物理観測所の建設につとめた。国際天文学連合副会長。29年文化勲章。昭和54年1月29日死去。81歳。大阪出身。東京帝大卒。著作に「天体力学の基礎」。

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