華族・花族(読み)かぞく

精選版 日本国語大辞典 「華族・花族」の意味・読み・例文・類語

か‐ぞく クヮ‥【華族・花族】

〘名〙
① 身分の高い家柄。貴い家柄。貴族。
※詩序集(1133頃)残菊映池水詩序〈大江公仲〉「文武相并之英髦、歌酒共兼之花族焉」 〔晉書‐王遐伝〕
② (「かそく」とも) 平安時代以来、公家の家格の名で、清華(せいが)の別称。摂関家に次ぐ家柄で、大臣、また大将を兼ね、太政大臣を極官とする。英雄。かしょく。
※中外抄(1137‐54)仁平四年三月二九日「義家母者直方娘也、為義母は有綱女也。已華族也」
③ 明治時代に設けられた、身分制度の称の一つ。明治二年(一八六九)六月、江戸時代の公卿、諸侯をこれにあて、同一七年の華族令により、公、侯、伯、子、男の爵位を授けられ、国家に勲功のあった政治家、軍人官吏、実業家なども列することができるようになった。皇族の下、士族の上に位置し、種々の特権を受けた。昭和二二年(一九四七)廃止。
※行政官達‐明治二年(1869)六月一七日「自今公卿諸侯之称被廃改て華族と可称旨被仰出候事」
[語誌]「華族」「花族」の読みについては、古くから漢音読みの「クヮソク」、「族」を呉音読みした「クヮゾク」の両用が行なわれた。これに加えて、中世から「クヮショク」という読みが現われるが、これはソク(漢音)をショクの直音表記と誤認したことに基づくものである。

か‐しょく クヮ‥【華族・花族】

〘名〙 =かぞく(華族)
※屋代本平家(13C前)一「平家一家の公達とだに云ひつれば花族(くゎショク)も英雄も面を対(むか)へ肩を並ぶる人ぞなき」
[語誌]→「かぞく(華族)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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