華厳寺(岐阜県)(読み)けごんじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「華厳寺(岐阜県)」の意味・わかりやすい解説

華厳寺(岐阜県)
けごんじ

岐阜県揖斐(いび)郡揖斐川町にある天台宗の寺。谷汲山と号し、通称の谷汲山寺、谷汲観音(かんのん)の名で親しまれている。西国三十三所満願の霊場で、笈摺(おいずる)などが奉納される。寺伝によれば、798年(延暦17)奥州会津の大口大領(おおぐちだいりょう)が、京でつくらせた十一面観音像を会津へ移す途中、この地で霊験を得、山中に庵(いおり)を結んでいた豊然(ぶねん)上人を招き堂宇を建て、尊像を安置したのに始まるという。建立のとき巌(がん)中から油が湧(わ)きいで、それを灯明に献じたという故事にちなみ、醍醐(だいご)天皇から「谷汲山」の号と「華厳寺」の扁額(へんがく)を下賜された。花山(かざん)法皇が巡幸のとき、当寺を満願所と定めて3首の句を納めたので御詠歌が3首ある。南北朝時代に新田(にった)軍がこもって諸堂は焼失したが、1479年(文明11)に再興された。現在、広い境内に本堂(1875再建)、仁王門、経堂などがある。木造毘沙門天(びしゃもんてん)像は国の重要文化財。

[中山清田]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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