荒子(読み)あらしこ

精選版 日本国語大辞典 「荒子」の意味・読み・例文・類語

あらし‐こ【荒子】

〘名〙 荒仕事を受けもつ下賤の男子戦国時代からみえ、下級雑兵足軽中間小者下位)や土工大工、台所使用人等を称した。江戸時代には下作人をいうこともある。
※小早川家文書‐天正一九年(1591)八月二一日・豊臣秀吉法度「奉公人、侍、中間、小者、あらし子に至る迄、〈略〉新儀町人百姓に成候者在之者」

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改訂新版 世界大百科事典 「荒子」の意味・わかりやすい解説

荒子 (あらしこ)

戦国・江戸時代の武家奉公人の一種。嵐子とも書く。1591年(天正19)の豊臣秀吉身分統制令に〈奉公人,侍,中間,小者,あらし子に至る迄,去七月奥州江御出勢より以後,新儀ニ町人百姓ニ成候者在之者〉(小早川家文書)とある。戦場で土木輜重しちよう),炊事などの雑役に従事した雑兵であり,その身分は百姓・町人とは明確に区別されていた。江戸幕府には小石川の薬園に22人の荒子(15俵一人半扶持高,抱席,御目見以下)がおかれていた。また夫役,農家の日雇人をもさしていう。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「荒子」の意味・わかりやすい解説

荒子
あらしこ

戦国時代から江戸時代の武家奉公人。嵐子とも書く。奉公人としては最下層に属し、炊事や清掃など雑役に従事した。語源や発生などについては各説あり一定していない。文献的には戦国時代末期からみえ、とくに1591年(天正19)豊臣(とよとみ)秀吉の発した身分統制令では、中間(ちゅうげん)、小者(こもの)とともに荒子は武士身分に位置づけられ、新儀に百姓、町人になることを禁じている。江戸時代においては引き続き武家奉公人として幕府や諸藩の職制中に散見されるほか、転じて百姓の召使いを意味することばとしても広く使用されている。

[佐々悦久]

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