草臥(読み)くたびれる

精選版 日本国語大辞典 「草臥」の意味・読み・例文・類語

くたび・れる【草臥】

〘自ラ下一〙 くたび・る 〘自ラ下二〙
① 体や頭を使い過ぎて疲れる。疲労する。
古今著聞集(1254)一六「さまざまのつとめに身もくたびれにけるにや」
滑稽本・古朽木(1780)一「なあにあればかり歩いて草臥(クタビレ)るものかい」
② (特に、動詞連用形に接続して) その動詞の示す行為を長時間にわたって行なって、その結果、疲れていやになる。「待ちくたびれる」など。
※文机談(1283頃)五「隆円もくちすきほどにかたりくたびれて」
③ 人が年老いたり、物などが長く使われたりしたために古びてみすぼらしくなる。
※中華若木詩抄(1520頃)五「鏡を見て、くたびれた也。何事をせんするも、年のわかきときのこと也」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「ちと疲労(クタビ)れた博多の帯に」
[補注]「草臥」の字を慣用するのは、「詩経」の鄘風の跋渉に、クサブシ(草臥)ミヅワタル(水渡)とあることによる。〔大言海

くさ‐ぶし【草臥】

〘名〙
① 鹿などが草の上にふすこと。また、その所。鹿の寝所
万葉(8C後)一〇・二二六八「さを鹿の小野の草伏(くさぶし)いちじろく吾が問はなくに人の知れらく」
山野に野宿すること。旅寝すること。
※保安二年関白忠通歌合(1121)「旅衣野ぢのくさふし寒けきに風も同じく夕ゐせよかし」

くたびれ【草臥】

〘名〙 (動詞「くたびれる(草臥)」の連用形の名詞化) くたびれること。疲労。疲れ。〔名語記(1275)〕
中務内侍(1292頃か)弘安七年七月五日「御くたひれにやありけん、御舟にも召さず」
※一兵卒の銃殺(1917)〈田山花袋〉一七「くたびれが治るだで、すぐお湯に入んなされな」

くたぶ・れる【草臥】

〘自ラ下一〙 「くたびれる(草臥)」の変化した語。
※雑俳・うき世笠(1703)「くたぶれた・うなぎからさくかば焼や」
出産(1908)〈徳田秋声〉「メリンス黒繻子の大分憊(クタブ)れた昼夜を、シダラなく締めてゐる」

くたぶれ【草臥】

〘名〙 「くたびれ(草臥)」の変化した語。〔邇言便蒙抄(1682)〕
※桑の実(1913)〈鈴木三重吉〉六「今日はあなたもお疲(クタブ)れだし」

くたび・る【草臥】

〘自ラ下二〙 ⇒くたびれる(草臥)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

普及版 字通 「草臥」の読み・字形・画数・意味

【草臥】そうが

ねござ。

字通「草」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android