日本大百科全書(ニッポニカ) 「茶館(ちゃかん)」の意味・わかりやすい解説
茶館(ちゃかん)
ちゃかん
中国の喫茶店で、茶を飲み点心などを食べる店。「さかん」とも読み、茶楼、茶肆(ちゃし)、茶居、茶寮ともいう。芸人を招き演芸させるなど、庶民的な娯楽の場、また交際、情報交換の場ともなった。日本では、1888年(明治21)東京・下谷(したや)黒門町で開店した「可否茶館(カッヒーちゃかん)」が近代的喫茶店の初めとして現れた。経営者は中国人であったが、建物は洋風の構えで、室内には玉突き台、トランプ、図書、便箋(びんせん)・封筒などが備えられ、庶民の気楽な交際の場として評判になった。西洋化の進む都市において、喫茶店は近代主義の象徴的存在であったといえよう。なお、中国現代劇に茶館を舞台とした戯曲『茶館』(老舎作)がある。
[佐々木日嘉里]