日本大百科全書(ニッポニカ) 「茶経(ちゃきょう)」の意味・わかりやすい解説
茶経(ちゃきょう)
ちゃきょう
世界最初の茶書。「さけい」とも読む。中国唐代の文人陸羽(りくう)(?―804)が、上元初年(760)ごろに書いたといわれる。唐代に飲まれた団茶(だんちゃ)の製法、道具、茶器、煮方、飲法などが、3巻10章に分けて書かれている。冒頭は「茶者南方之嘉木也(ちゃはなんぽうのかぼくなり)」から始まり、茶の源流や故事にまで言及する。茶は清行倹徳の文人の高雅な遊びであると説き、わが国五山僧をはじめ煎茶(せんちゃ)の世界にも大きな影響を与えている。『茶道古典全集』(淡交社)や『中国の茶書』(平凡社)に収録されているのをはじめ数種の単行本が出版されている。
[筒井紘一]
『布目潮渢・中村喬編・訳『中国の茶書』(平凡社・東洋文庫)』