朝日日本歴史人物事典 「茶屋四郎次郎(3代)」の解説
茶屋四郎次郎(3代)
生年:天正13(1585)
江戸期初頭の代官的豪商,朱印船貿易家,公儀呉服師。2代茶屋四郎次郎清忠が早世したため,慶長8(1603)年初代四郎次郎清延の次男又四郎が他家に養子に出ていたのを徳川家康の命で家督を相続。同19年,3代目四郎次郎を襲名,名は清次。又四郎は同12年昵懇の長谷川左兵衛(もとの養子先)の長崎奉行就任に伴い,長崎奉行所で外国船の管理,キリシタンの吟味など外国貿易や都市長崎の行政に関与,家康の売買の代官として活躍している。大坂の陣(1614~15)前の家康の軍需物資の調達にも努めた。また同17年家康の特許で朱印船貿易を始め,安南国交趾(インドシナ半島)に派船して,以後朱印船貿易の主流となる。その他将軍家の側近御用,公儀呉服師の家業も務め,幕閣内に隠然とした勢力を持った。<参考文献>「茶屋文書」(京都市茶屋武郎氏蔵),中田易直「茶屋四郎次郎由緒考」(『歴史地理』87巻1・2号)
(中田易直)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報