茶寄合(読み)ちゃよりあい

百科事典マイペディア 「茶寄合」の意味・わかりやすい解説

茶寄合【ちゃよりあい】

中世喫茶趣向とする会合の一形態。鎌倉時代後期に各地で茶の栽培が進み,本茶と非茶を飲み分ける茶勝負闘茶)の茶寄合が盛行。その後闘茶を伴わず,座敷飾りや唐物器物などで風流を楽しむ茶会茶礼にとらわれない雲脚(うんきゃく)茶会や風呂を組み合わせた淋汗(りんかん)茶会などが楽しまれた。茶寄合は一味同心(いちみどうしん)・一座建立(いちざこんりゅう)の精神的伝統を継ぐが,この中から侘(わび)茶が出現

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「茶寄合」の意味・わかりやすい解説

茶寄合
ちゃよりあい

鎌倉時代から室町時代の喫茶を中心とした寄合で,粗茶の「雲脚」を用いたことから雲脚茶会ともいったらしい。また武士の間で行われた闘茶の会までも茶寄合と呼んだ。闘茶,飲茶勝負平安時代に中国,宋から伝わったもので,茶会に集って主として宋では水品を,日本では茶種や産地を当てる競技抹茶の本茶 (栂尾産茶,のちには宇治産茶をもいう) と非茶 (栂尾以外の産茶) の別や品種の良悪を判別する。現在の「茶歌舞伎 (茶香服) 」はその名残りである。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「茶寄合」の解説

茶寄合
ちゃよりあい

農村での飲茶を中心とした集りを語源とする。中世以後,茶の本非を判別して勝負を競う闘茶(とうちゃ)の集りをいうようになった。1336年(建武3・延元元)の建武式目に「或ハ茶寄合ト号シ(中略),莫太ノ賭ニ及ブ」とあり,「太平記」に「衆ヲ結ビテ茶ノ会ヲ始メ,日々ニ寄合」とあるので,社会の混乱と贅沢の象徴として批判の対象であったことが知られる。

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旺文社日本史事典 三訂版 「茶寄合」の解説

茶寄合
ちゃよりあい

南北朝〜室町中期に流行した闘茶の会,また庶民に流行した雲脚茶会といわれる粗茶による会合
闘茶は産地・品種を飲みあてる茶会式の遊戯で,賭をし酒宴を開く。

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世界大百科事典(旧版)内の茶寄合の言及

【共食】より

…神人共食の儀礼は人間どうしの共食の風にもおよび,村運営のための寄合その他各種集会にも共同飲食がおこなわれる。〈一味同心〉といい,同じ飲食物をともに味わうことによって親密感を増し,心を一にして共同体的結合を強化しようとするもので,中世郷村制成立期の惣村・郷村における茶寄合もその一つである。さらに武士団の党ややくざの集団で,酒を酌み交わし会食するのも,共食によって主従的結合,同志的結合を強めようとするものである。…

※「茶寄合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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