茨・荊・棘(読み)いばら

精選版 日本国語大辞典 「茨・荊・棘」の意味・読み・例文・類語

いばら【茨・荊・棘】

〘名〙
① とげのある低木類の総称カラタチ、バラなど、多くやぶのように茂るものについていう。いばらぐさ。〔文明本節用集(室町中)〕
② 植物のとげ。はり。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ (薔薇とも) バラ科バラ属の総称。一般に、茎には鋭いとげがあり、葉は奇数羽状複葉である。花は五弁または八重で美しく、芳香がある。観賞用として栽培されるものも多いが、特にノイバラをさすこともある。ばら。うばら。うまら。のいばら。のばら。《季・夏》
▼いばらの実《季・秋》
※俳諧・炭俵(1694)上「子は裸父はててれで早苗舟〈利牛〉 岸のいばらの真っ白に咲〈野坡〉」
苦難、苦痛などのたとえにいう。
※珊瑚集(1913)〈永井荷風訳〉奢侈「覚醒に憤る不眠症の荊棘(イバラ)。睡眠の高き壁に蠢く悪魔が夜宴の大壁書」
⑤ 建築で、唐破風(からはふ)などで、弧線が集まって生じた角点。
⑥ 「はしじょろう(端女郎)」の異称。
※評判記・難波鉦(1680)三「まづつぼね女郎といふははし女郎をいひます。〈略〉是も松、梅、桐になぞらへ、いばらといひますげな」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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