くく‐たち【茎立】
①
スズナや
アブラナなどの野菜。また、それらの薹
(とう)。くくたちな。くきたち。くきたちな。《季・春》
※
万葉(8C後)一四・三四〇六「上毛野佐野の九久多知
(ククタチ)折りはやし吾れは待たむゑ今年来ずとも」
※
古今著聞集(1254)一八「くくたちをまへにてゆでけるに」
② (━する) 芽や茎などがのびること。薹(とう)がたつこと。
※
読本・椿説弓張月(1807‐11)後「
切口より葉生出、いく度も茎立
(ククタチ)して、春に至りても尽ずといふ」
[
補注]ククは、クク
ミラ(=韮
(ミラ))のククと同様に、
クキ(茎)の被覆形。
くき‐たち【茎立】
※
吾輩は猫である(1905‐06)〈
夏目漱石〉九「
透垣をすい垣、茎
(クキ)立をくく立、皆同じ事だ」
くき‐だ・つ【茎立】
〘自タ四〙 茎がはえ出る。茎が伸びる。
※新撰六帖(1244頃)二「山がつの
垣根の中のからなづなくきたつほどに春ぞなりぬる〈
藤原家良〉」
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普及版 字通
「茎立」の読み・字形・画数・意味
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出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
世界大百科事典(旧版)内の茎立の言及
【カブ(蕪∥蕪菁)】より
…《和名抄》には,〈園菜類〉の部に蔓菁と蔓菁根が見え,和名は前者が〈阿乎奈(あおな)〉,後者が〈加布良(かぶら)〉となっている。阿乎奈は青菜で,カブの地上部の葉や茎をさし,茎立(くくたち)とも呼ばれた。葉菜として多用されたが,これが厳密にカブだけを指していたとは断定しがたい。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」