茂山千作(読み)シゲヤマセンサク

デジタル大辞泉 「茂山千作」の意味・読み・例文・類語

しげやま‐せんさく【茂山千作】

[1919~2013]狂言師。4世。大蔵流京都の生まれ。本名、茂山七五三しめ。明朗な狂言で知られ、天衣無縫な芸で新作狂言などにも取り組んだ。芸術院会員、人間国宝。平成19年(2007)文化勲章受章。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「茂山千作」の意味・わかりやすい解説

茂山千作
しげやませんさく
(1896―1986)

能楽師。大蔵流狂言方。江戸時代から続く京都狂言界の名家、茂山家の11世。2世千作の名で知られた10世千五郎正重(まさしげ)の長男養子)。本名、真一(まさかず)。前名、千五郎。1966年(昭和41)隠居名を名のり3世千作となる。1976年重要無形文化財各個指定(人間国宝)の認定を受ける。1976年度芸術院賞を受賞。1979年芸術院会員。京都風の柔らかい写実的芸風で、小柄なきびきびした動きにあいきょうがあり、観客へのサービス精神の旺盛(おうせい)な芸風であった。長男4世千作(本名七五三(しめ)、12世千五郎、1919―2013)、次男2世千之丞(1923―2010)は、狂言だけでなく幅広い演劇活動を展開して、狂言の普及と地位向上に貢献した。4世千作は1989年(平成1)重要無形文化財各個指定の認定を受け、1991年芸術院会員に就任、2000年文化功労者。2007年文化勲章受章。

小林 責 2018年5月21日]

『3世茂山千作著『狂言85年茂山千作』(1984・淡交社)』『4世茂山千作著『京都の狂言師』(2004・世界文化社)』

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百科事典マイペディア 「茂山千作」の意味・わかりやすい解説

茂山千作【しげやませんさく】

能楽師。大蔵流狂言方。江戸時代から続く京都狂言界の名家,茂山千五郎家の11世。先代の2世千作〔1864-1950〕の長男で1966年隠居名の3世千作を襲名した。関西風のくだけた軽妙な芸風。1976年人間国宝。4世〔1919-2013〕は3世の長男。前名七五三(しめ),12世千五郎。1994年4世を襲名。1989年人間国宝,1991年芸術院会員。2世千之丞〔1923-2010〕はその弟。

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世界大百科事典(旧版)内の茂山千作の言及

【大蔵流】より

…相弟子の義直は分家茂山忠三郎家を興し,その子良豊の義子弥五郎も別家を興し1963年能の金春流宗家より善竹の姓を贈られて善竹家となった。千五郎家では正虎の孫茂山千作(1896‐1986)が重要無形文化財保持者各個指定(人間国宝)を受け,その息12世千五郎・千之丞ら,茂山忠三郎家では良豊の孫4世忠三郎らが京都を中心に活躍し,善竹家では弥五郎の息忠一郎・玄三郎・幸四郎らが阪神を中心に,現宗家の大蔵弥太郎,善竹圭五郎らが東京を中心に活躍している。
[山本家]
 豊後岡(竹田)中川藩の江戸詰藩士であった山本東次郎則正(東(あずま))が初世。…

※「茂山千作」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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