茂原(市)(読み)もばら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「茂原(市)」の意味・わかりやすい解説

茂原(市)
もばら

千葉県中部にある市。九十九里平野南部に位置する。1952年(昭和27)茂原町と鶴枝(つるえ)、五郷(ごごう)、二宮本郷(にのみやほんごう)、東郷(とうごう)、豊田(とよだ)の5村が合併して市制施行。1972年本納(ほんのう)町と合併。JR外房(そとぼう)線と国道128号、409号、圏央道、千葉外房有料道路が通じ、九十九里平野南部の中心をなす。平安時代、南都興福寺領の荘園(しょうえん)(藻原荘(もばらのしょう))が開かれ、中世には斎藤氏が領主となり、江戸時代は旗本領となった。1606年(慶長11)4、9の六斎市(ろくさいいち)が開かれ、九十九里浜の塩や海産物と九十九里平野の農産物を交換し、町が形成された。また上総(かずさ)木綿も生産され江戸へ送られた。市内に産出する天然ガスを原料・燃料とした近代工業が発達し、三井東圧化学(現、三井化学)、日立製作所(茂原工場。現、ジャパンディスプレイ茂原工場)などの大工場や下請工場が集中し工業化が進展した。農業は米作とネギ、トマト、キュウリなどの野菜栽培をはじめ、台地上ではラッカセイが生産される。商業も近郊農村地域を背景に活発で、7月中旬に行われる七夕(たなばた)祭りは関東有数の規模である。千葉市に近いため住宅地開発も進んだ。日蓮(にちれん)開基藻原寺(そうげんじ)は東身延(みのぶ)ともいわれ、背後丘陵地茂原公園があり、園内に市立美術館・郷土資料館が建つ。鶴枝ヒメハルゼミ発生地は国の天然記念物に指定されている。面積99.92平方キロメートル、人口8万6782(2020)。

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『『茂原市史』(1966・茂原市)』


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