若狭(町)(読み)わかさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「若狭(町)」の意味・わかりやすい解説

若狭(町)
わかさ

福井県南部、三方上中郡(みかたかみなかぐん)にある町。2005年(平成17)三方郡三方町、遠敷(おにゅう)郡上中町が合併して成立。小浜(おばま)市の東に位置する。北部は三方五湖の水月(すいげつ)湖、三方湖、菅(すが)湖を擁し(三方五湖はラムサール条約登録湿地)、常神(つねかみ)岬と獅子ヶ崎(ししがさき)の間の入江など若狭湾国定公園の中心を占める。南は野坂山地を隔てて滋賀県と境する。県境付近の丘陵地帯と岬部分をのぞけば比較的平地が多い。JR小浜線、国道27号、162号、303号、舞鶴若狭自動車道が通じる。常神半島には三方五湖を眼下に望む三方五湖レインボーラインが走り、多くの観光客が訪れる。農業と漁業が主産業で、米のほか福井ウメの産地として知られ、ナシやカキの栽培も盛ん。漁業は定置網による沿岸漁業が主体で、民宿の経営を兼ねる漁家が多い。三方湖産のウナギも著名。育てる漁業への転換も進み、若狭フグの養殖が盛んに行われている。遺跡も多く、三方湖に注ぐ「はす川」の河口付近、「縄文のタイムカプセル」と称される鳥浜貝塚から出土した木製遺物は国の重要文化財に指定。鳥浜貝塚をテーマにした若狭三方縄文博物館がある。大型前方後円墳を中心とする上中古墳群は当地方の首長墓と考えられており、西塚、上ノ塚(じょうのづか)、中塚、上船塚、下船塚の各古墳は国指定史跡。旧三方町地区の常神のソテツは国指定天然記念、宇波西神社(うわせじんじゃ)の神事芸能は国選択無形民俗文化財。旧上中町地区の法順寺の木造十一面観音立像、安楽寺の木造聖観音立像は国指定重要文化財。上中の六斎念仏は国選択無形民俗文化財。江戸時代に若狭と近江、京を結んだ若狭街道(九里半(くりはん)街道)の熊川宿は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。食見(しきみ)海岸に福井県海浜自然センター、国道27号沿いの天徳寺境内奥には環境省選定名水百選の瓜割(うりわり)の滝があり、若狭瓜割名水公園として整備されている。面積178.49平方キロメートル、人口1万4003(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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