苔紙(読み)たいし

精選版 日本国語大辞典 「苔紙」の意味・読み・例文・類語

たい‐し【苔紙】

〘名〙
アオミドロがかわいて紙のようになったもの。渇水期の池や川などで見られる。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
② アオミドロをすきこんで作った手すきの和紙
※負暄雑録「苔紙以水苔之、名側理紙

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「苔紙」の意味・わかりやすい解説

苔紙
たいし

ミズゴケを混入して抄造した紙。1805年(文化2)刊の小野蘭山(らんざん)著『本草綱目啓蒙(ほんぞうこうもくけいもう)』には、アオミドロが乾いて自然に紙のようになったものとあるが、現在、製紙家の間では、ミズゴケを漉(す)き入れた模様紙を苔紙と称している。同様な韓国の苔精箋(たいせいせん)は有名で、李朝中宗(りちょうちゅうそう)のころ(16世紀)の役人、金案国(きんあんこう)の発明という。日本でも奈良県吉野の国栖(くず)などで楽水紙(らくすいし)の名で漉かれている。

[町田誠之]

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世界大百科事典(旧版)内の苔紙の言及

【アオミドロ】より

…食用にはされないが,学校教育の理科の教材としてよく利用される。またこのような糸状の藻を和紙にすきこんで,苔紙(たいし)とした。【千原 光雄】。…

※「苔紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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