芳・香・馨(読み)かんばしい

精選版 日本国語大辞典 「芳・香・馨」の意味・読み・例文・類語

かんばし・い【芳・香・馨】

〘形口〙 かんばし 〘形シク〙 (「かぐわしい(芳)」の変化した語)
① かおりが高い。においがよい。
※蘇悉地羯羅経延喜九年点(909)「諸の香(カムハシキ)蘇油を用ゐよ」
海道記(1223頃)逆川より鎌倉「春にあへる匂天下に薫し」
ほまれが高い。評判がよい。りっぱである。現代では下に打消の語を伴うことが多い。
社会百面相(1902)〈内田魯庵貴婦人「余り香(カン)ばしくない奥さん方も随分ありますが」
③ 好ましい。望ましい。思わしい。現代では下に打消の語を伴うことが多い。
※社会百面相(1902)〈内田魯庵〉電影「どの道露鉄(つゆてつ)のやうな〈略〉奴が出入するは余り香ばしくないワ」
かんばし‐げ
〘形動〙
かんばし‐さ
〘名〙

か‐ぐわし・い ‥ぐはしい【芳・香・馨】

〘形口〙 かぐはし 〘形シク〙 (名詞「か(香)」に、すぐれている意の形容詞「くはし」が付いてできたもの)
① かおりが高い。においがよい。
古事記(712)中・歌謡「蒜摘みに 我が行く道の 迦具波斯(カグハシ) 花橘は」
② 心がひかれる。したわしく思う。好ましく思う。いとしい。すばらしい。かんばしい。
万葉(8C後)一八・四一二〇「見まく欲り思ひしなへに蘰(かづら)懸け香具波之(カグハシ)君を相見つるかも」
かぐわし‐げ
〘形動〙
かぐわし‐さ
〘名〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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