花鳥(読み)はなどり

精選版 日本国語大辞典 「花鳥」の意味・読み・例文・類語

はな‐どり【花鳥】

〘名〙 (「はなとり」とも)
① 花に宿る鳥。また、花と鳥。花や鳥。かちょう。《季・春》
※後撰(951‐953頃)夏・二一二「はな鳥の色をもねをもいたづらに物うかる身はすぐすのみなり〈藤原雅正〉」
② 渡り奉公をする人。
浄瑠璃・薩摩歌(1711頃)上「一季半季の花鳥も、とかくは御縁次第なり」
ハナドリ科に属する鳥の総称多く全長一〇センチメートル以下の小形種で、緑・赤・青などの濃色でいろどられるものが多い。アジア・オーストラリア熱帯に約五八種が分布する。主として森林の樹上に小群で生活し、花をよく訪れ、花に集まる昆虫、花蜜、小果実を主食とする。
④ ハナドリ科の小鳥。全長約一〇センチメートル。スズメより小さく、くちばし・尾も短い。雄の背面は金属光沢のある緑色、腹面は淡黄褐色で、のどとくびは美しい紅色を呈する。雌は全体にオリーブ色を帯びる。中国南部からマレー諸島に分布。台湾には特有の亜種が高山にすむ。昆虫を捕食し、花の蜜を吸う。

か‐ちょう クヮテウ【花鳥】

〘名〙
① 花と鳥。花または鳥。自然の風物として観賞されたり、詩歌絵画模様などの題材にされたりする場合にいう。
万葉(8C後)一五・三七八五・左注「右七首中臣朝臣宅守寄花鳥思作歌」 〔杜審言‐渡湘江詩〕
※談義本・根無草(1763‐69)後「雪渓が花鳥も色を失ひ、春信も筆を捨」
③ 色めかしいこと。
※松浦廟宮先祖次第并本縁起(鎌倉中)「於少弐在京妻室命婦、欲花鳥之気

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デジタル大辞泉 「花鳥」の意味・読み・例文・類語

はな‐とり【花鳥】

花と鳥。花や鳥。かちょう。→花鳥かちょうの使い
「―の色にも音にもよそふべきかたぞなき」〈桐壺

はな‐どり【花鳥】

スズメ目ハナドリ科の鳥の総称。多くはスズメより小形で、雄は赤・黄・青・黒色などのはでな羽毛をもつ。雌は緑色や緑褐色。花の蜜を好む。中国南部からオーストラリアにかけて分布。

か‐ちょう〔クワテウ〕【花鳥】

花と鳥。花または鳥。観賞したり、詩歌・絵画などの題材にする場合にいう。

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普及版 字通 「花鳥」の読み・字形・画数・意味

【花鳥】かちよう(くわてう)

花と鳥。唐・王〔涼州詞、二〕詩 秦中の鳥、已に應(まさ)に闌(たけなは)なるべし 塞外の風沙、(な)ほ自ら

字通「花」の項目を見る

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動植物名よみかた辞典 普及版 「花鳥」の解説

花鳥 (ハナドリ)

学名:Dicaeum ignipectus
動物。ハナドリ科の鳥

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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