精選版 日本国語大辞典 「花筏」の意味・読み・例文・類語
はな‐いかだ【花筏】
〘名〙
① 水面に散った花びらが連なって流れているのを筏に見立てた語。また、筏に花の枝の折り添えてあるもの。筏に花の散りかかっているもの。《季・春》
※歌謡・閑吟集(1518)「吉野の川の花いかだ、うかれてこがれ候よの、こがれ候よの」
② 紋所の一つ。筏に花の枝をあしらった図柄のもの。
※俳諧・犬子集(1633)二「川の瀬の文所かや花筏〈正信〉」
③ ミズキ科の落葉低木。北海道の北部を除く各地の山林内に生える。高さ一~三メートル。葉は互生し柄があり葉身は楕円形ないし卵形で先端は尖り、縁に細鋸歯(きょし)がある。雌雄異株。初夏、葉面の中央に淡緑色の小さな単性花をつける。雄花の花弁は四個、雌花の花弁は三個。果実は径約一センチメートルの扁球形で黒く熟す。果実と若葉は食べられる。花をのせた葉を筏にたとえてこの名がある。漢名、青莢葉。ままっこ。ままこのき。さいそうか。さいそうろう。《季・春》 〔大和本草批正(1810頃)〕
④ おしろい下に用いた油性の香料の名。
⑤ 摂津国伊丹(兵庫県伊丹市)産の酒の名。
※長唄・月雪花名残文台(1820)寒行雪姿見(まかしょ)「ぴんと白菊花筏、差すと聞いたら思ふ相手に」
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